2014,08,04, Monday
国土交通省は、インターネットを活用した重要事項説明のあり方などについて検討を進めています。すでに7月末に中間報告をまとめましたが、賛成派反対派の主張を聞きながら、年内にも最終結論を出す予定と言われています。9月の大臣交代までに、結論をほぼ出すのでしょうね。
そもそも不動産業界の重要事項説明書のIT化は、昨年12月20日、IT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)で、IT活用のすそ野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン(案)がまとめられたことから、一気に話しが進みました。しかし現場では、「あり得ない」この問題の対応に苦慮してきました。 不動産取引の契約に際して宅地建物取引業法では、難関の試験に合格した宅地建物取引主任者が「対面方式」で重要事項説明をするように定められています。宅地建物取引主任者の責任が重く非常に重要な説明であることから、「宅地建物取引士」誕生へ繋がったのです。 政府がIT活用の案を求めたことから、それなら重要事項説明の「対面方式」を見直し、インターネットなどを利用した「対面以外の方法」で重要事項説明が出来ないかと「新戦略推進専門調査会規制制度改革分科会」が提言したのです。 同本部の「新戦略推進専門調査会規制制度改革分科会」が13年11月に開かれた際に、新経済連盟(代表理事・三木谷浩史楽天会長兼社長)から、医薬品の対面販売が廃止され、金融商品取引では契約書面を電子化しているのに比べて、不動産分野だけは依然として対面・書面交付原則を貫いていて、「2周遅れの状況」と指摘がされていました。 新経済連盟が考えている重要事項説明の方法は、宅地建物取引主任者が説明することはこれまでと同じで、ウェブ・チャット・テレビ電話などを活用するものであります。宅地建物取引主任者は説明の際に、宅地建物取引主任者証を提示する義務があるのですが、これもテレビ電話やウェブで行うというのです。 宅地建物取引主任者へのなりすまし対策として、宅地建物取引主任者のデーターベースを設置した上で公開。これらを利用して、有資格者であることを確認するとしていますが、そんな面倒なことをせず、画面に宅地建物取引主任者証をかざすので良いのではないか。 国土交通省としては慎重に考えていたようですが、国も圧力というか、新経済連盟(代表理事・三木谷浩史楽天会長兼社長)に押されたという感じです。こういう構図の中では国土交通省も、IT化の方向へ舵を切らざるを得なくなっています。しかし宅建業者の一部は反対しています。 私が現場で、IT化も良いと思うケースは、建物賃貸借契約の法人契約などで契約者と入居者が違うという場合が一番の接点です。仮に新潟から高松へ転勤辞令(大抵は内示の段階)が出たら、入居者はまずネットで高松の賃貸市場を探り、余裕のある人は高松へ来ます。この場合はほとんどがファミリー世帯です。 ほとんどの人が、ここで決めて帰ります。すかさず不動産仲介会社は、重要事項の説明をしますが、急すぎて間に合わないケースもあります。次ぎに再来してくれればその時に説明をしますが、次ぎに来るのは引っ越しの時という場合も散見されます。 このようなケースに、スカイプなどの簡単テレビ電話方式を利用する選択は、私は双方にとって良いと思っています。転勤族はそう言ったら身も蓋もなくなりますが、引っ越しのプロです。どこがトラブルの根源かも、熟知されています。メールでも、添付写真でもある程度確認されています。 すべてが「非対面式」ではなくて、入居者の同意があるものに関してはIT化を認めるという緩やかな選択を私は希望します。新経済連盟(代表理事・三木谷浩史楽天会長兼社長)の考えには、諸手を上げて賛成とは言いかねます。 |