NPO法人日本ホームインスペクターズ協会が主催する、インスペクター(住宅診断士)試験でした。ここ2~3年、私もインスペクションと呼ばれる「建物目視検査」を推進しています。明けても暮れても、「インスペクションしよう」と言い続けています。馬鹿の一つ覚えのようです。
中古住宅の売買契約において、価格はなるほど新築に対して安いが、建物の中身は当たり外れがあると言われていることを十分承知しています。恥ずかしながら何の疑問も持たずに、33年間もお客様に不合理を提供し続けてきました。まさに、常識の非常識です。
それが国土交通省の指導で、にわかに媒介業者であるわれわれに、インスペクションをしたものを媒介(仲介)しましょうという雰囲気が、にわか麻疹のように、格好良く言えば「燎原の炎」のように広がっています。これは何も四国だけではなくて、全国的な広がりになってきました。
基本的には目視による非破壊検査ですが、私は建築設計士による検査が良いと思いながら、本日のNPO法人日本ホームインスペクターズ協会の試験を受けることにしました。この組織が主催するインスペクター資格は、建築設計士の資格があるかないかを問いません。勿論、本格的に検査する気はありません。
誰がでも、試験に合格し、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会に所属すれば、有償で検査をし、報告書を書くことが出来るのです。こちらのタイプは、既に何社または何組織かが存在しています。宅建業者向けと言われているのもそういう背景です。
これに対して、国土交通省が認可した5社(㈱住宅あんしん保証・住宅保証機構㈱・㈱日本住宅保証検査機構・㈱ハウスジーメン・ハウスプラス住宅保証㈱)で構成する、一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会が主催するインスペクションがあります。こちらは建築士だけが受講できます。
「既存住宅現況検査技術者」がそれで、要するに瑕疵担保賠償責任保険に加入するための住宅検査をする人です。「瑕疵保険法人が行う現場検査に代える取り扱いが認められる」のは、各瑕疵保険法人の「既存住宅瑕疵保険(個人間)」の登録検査事業者のうち建築士事務所登録をしている事業者が同保険の申込をした場合に限ります。
建築士の世界も、少し変わっています。建築士は「建築士会」へ所属します。これがいわば個人参加の集団です。それに対して、「建築士事務所協会」があります。これが設計会社企業、場合によっては個人が一人親方として加入する組織です。この建築士事務所協会に、所属していることを条件としています。
このような経緯から私は、建築士のインスペクターがベターだと思っていますが、しかし原点回帰すれば、今まで何もなかったのですから国土交通省のインスペクションガイドラインを学んだ宅建業者による検査でも、何もないより良いと思います。
私は東京の神田で受験しましたが、建物の2階で230人の受験生。3階にも同じ程度いたとしたら約500人。東京が一番多いとは思いますが、大阪など5会場としたら2千人程度が受験したのではないかと考えます。私の予想を遙かに超える人数が受験しています。世間の関心が高いのは、この数が物語っています。