2017,03,12, Sunday
平成28年度国土交通省「消費者の相談体制の整備事業」に採択された、一般社団法人岡山住まいと暮らしの相談センターが主催する大相談会です。メルパルク岡山で、日曜日の朝10時から17時までのイベントです。会場では50分刻みの講演や、個別相談コーナーや住宅関連の展示などがありました。
私も案内を頂き、第5講演「任意後見と家族信託」を拝聴しに、会場へ足を運びました。司法書士法人、一休法律事務所牧沙緖里司法書士の話です。超高齢化時代を迎えた今、死亡年齢が95歳ほどになり、判断能力が低下するだろうと思われる75歳頃からの20年間、病気や認知症も気になるところです。 そのために、成年後見制度があり、判断能力が難しい人に後見人が選任されて、その後見人等が取消権や代理権を持つようになります。その制度はあくまでも、本人の権利擁護のための制度です。不動産売買でも、判断能力のない人は自己の不動産でも売却が出来ません。 そこで後見人を付けるようになるわけですが、判断能力が低下する前は、任意後見契約で家族などを選任しておくことが出来ますが、判断能力が低下した後は、家庭裁判所が後見人を選ぶことになります。弁護士などの専門家が選ばれれば、毎月の支払が発生したりします。 では成年後見制度に不向きな人たちとは、どんな人たちでしょう。会社のオーナーや不動産オーナーがその代表格です。成年後見制度は、「人」につく権利擁護制度です。それに対して信託制度は、「特定のもの」につく制度です。先の例では「自社株」や「不動産」です。こちらは家族信託契約が有効なわけです。 民事信託(=家族信託)とは、特定の財産の管理運用手法で、「信託銀行」などの商品は、商事信託でここでの話とは別物です。平成19年に「信託法の改正」があり、「信託」という法律行為を信託事業者でなく、家族間も含め民間でも使いやすくなったのです。 所有権=運用権+利益享受兼と考えて、委託者=受益者であれば財産的価値は移転しないので、「信託」を原因として登記が受託者へ移転しますが、贈与税や不動産取得税は課税されないことになっています。登録免許税も「売買」を原因とする登記1.5%に対して、0.3%(土地の場合で建物は0.2)と安いのです。 これらは実際には、すでに行われていることであります。「あの土地は息子に任せてあるから、息子とやりとりしてくれ」とか「判断能力が低下したら、任せている息子がやるから大丈夫」などと。しかし、口約束では実際に証明することが出来ない。これを世間で通用する契約書にして、不動産登記に反映したり株主名簿に記載するのです。 |