定期借地権制度が施行になったのは、昭和バブルが崩壊したと言われている1992(平成4)年8月1日でした。誕生までの数年は、地価が高騰し定期借地権に期待が集まった。特に住宅地にあっては、高騰するマイホームに、定期借地権を使った団地が売り出されて好評を博したのでした。
ところがそれから25年、地価は全国津々浦々値下がりして、今ではピーク時の1/10つまり1割程度まで下落しているところが、高松周辺でも散見される。パブル期の路線価を比べたら高松が松山をリードしていたのですが、今では最高路線価は松山の半分です。
都会ほど地価の下落幅が大きいと言ったら松山に失礼ですが、香川県県と愛媛県の宅建業者数はほぼ同数で、愛媛県の面積は日本一小さな香川県の約3倍。そして価格が半分と言うことは、香川県下の宅建業者は大健闘しているわけです。
ところで週間住宅新聞の3月13日(月)15面に、25年の特集が組まれています。その中から抜粋して、本日の小欄をまとめてみたい。その前に同社代表取締役長尾浩章様の訃報に接し、衷心より哀悼の意を表します。享年57歳、急性心不全で逝去されました。4月11日(火)に、合同葬の予定です。
記事に戻りますが、首都圏定期借地借家権推進機構と関東甲信不動産鑑定士協会連合会は、95年と04年に続き昨年16年に実施した「第3回定期借地権の地代利回り実態調査」の結果をまとめて発表しました。
その中で、住居系一般定期借地について、これまで授受される保証金は20%が相場と考えられていましたが、今回の調査で約10%となっており、保証金は下落傾向にあるという新発見が報じられています。定期借地権は時代の寵児で、その姿カタチがより実態に合うものになっています。
借地権は、土地の所有権限を「使用」・「収益」・「処分」の3つに分けて、土地の処分権(売却等)を地主の元に残し、使用・収益権限を一時的に借地人に譲り渡す法律の仕組みです。このように借地権は、「所有」と「利用」を分離する機能を持つのです。
所有と利用を分離すると、土地は持っているものの、利用の方法が分からない老人と、土地は持っていないが利用への意欲がある若者を結びつけることができます。
定期借地権というのは契約期間が有期で、「更新」が無い契約です。期間の終了で、土地は建物を解体して(建物譲渡特約付借地権1種類を除く)更地で地主へ返還されます。
この期間は借地権が、「建物の所有を目的とした」ものですから、3種類ある「定期借地権」ごとに契約期間の最短が決まりますが、20年から50年で比較的長期に設定されます。それより長いものは有効ですが、短いものは無効となります。
四半世紀を経過して、定期借地権を活用した案件が数多く世に出ています。新しいショッピングセンターや大型店舗の事業用に、また近年の傾向としては、寺社仏閣や地方公共団体が所有する土地が、定期借地権付マンションとしてまた自治体にとってPRE戦略(PRE(Public Real Estate)戦略とは、公的不動産について公共・公益的な目的を踏まえつつ、経済の活性化及び財政健全化を念頭に、適切で効率的な管理、運用を推進していこうとする考え方をいいます。)になります。
これらが、PFI(PFIとは、Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の略で、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間部門(プライベート)の持つ経営ノウハウや資金(ファイナンス)を活用することで、低廉かつ良質な公共サービスを提供することを目的とした新しい公共事業の手法です。)へつながります。
またPPP(PPP(パブリックプライベートパートナーシップ)は、たとえば水道やガス、交通など、従来地方自治体が公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者に任せる民間委託などを含む手法を指している。)へもつながります。
以上から見えることは、地方自治体が持つ土地に民間が建物や設備を構築して、それを地方自治体が賃料を払って長期間借り上げる。地方自治体は箱物(公共建築物)が好きですが、ここは民間にゆだねて、道路や橋や交通インフラなどの社会インフラ整備に税金を投入すべきです。