2017,05,04, Thursday
昨日は自らがプチ農業をしたつながりから、農業の国際競争力強化や自給率アップを目指し、国が進める農地制度の改革が本格化しているという話題を。全国に点在する耕作放棄地を耕作意欲のある担い手に集約し、生産性の高い大規模農場にする試みです。死亡などにより所有者が確認できない土地を、積極的に貸し付ける制度も動き始めている。
全国第1号は、静岡県東伊豆町のカーネーション農家。標高160メートルの高台農地4千㎡(1,200坪)に、ビニールハウスが並んでいるという。長年、隣接する荒れた農地が悩みの種だった。町の農業委員会は、荒れた土地の所有者や相続人はすでに死亡し、10年以上放置されていることを確認。 カーネーション農家は4月から5年間、この889㎡(270坪程度)の荒れ地を計約1万円で借り受けて、オレンジを植えたいと抱負を語っている。2014年改正の農地法で、各市町村の農業委員会が6ヶ月間、持ち主の有無を確認する「公示」をすれば、知事裁定によって利用権だけを譲渡できるとしたのです。 この「公示」という制度もある意味いい加減な制度で、役所の掲示板に貼り付けるだけのもの。勿論利害関係者は、必ず読んで下さいという意味で貼り付けるものですが、まず読む人はいない。それで6ヶ月が経過すれば、必要十分な確認が出来たとするのです。 利用権を獲得して農家に貸し付けるのは、各都道府県に新設された「農地中間管理機構(農地バンク)」。耕作放棄地や分散した農地を集約して貸しだし、規模拡大を助けるのが業務。農地法によれば、そもそも耕作されるべき土地と「農地」と定めているのです。所有権を主張して放置されるよりは、第三者でも耕作する人に使って貰いたいのが本音。 これまでの「所有権」に呪縛されていた土地の活用が、このように進むことは大変喜ばしいことです。農地だけに限らず、空き地空き家も似たような制度を作り、絶対的「所有権」には敢えて触れずに、「公益性」を考えた運用を地方自治体へ御願いしたい。 先の静岡の1号に続き、3月には青森県知事が裁定2号を出すなど、制度の活用が広がり始めている。全国には42万ヘクタールの放棄地があると言う。資源の少ない日本は、知恵で足らずを補うのです。これが昔からの「民」の知恵です。 |