2017,05,10, Wednesday
住宅新報の本多信博氏が、5月9日住宅新報に書いた記事です。残念なことに業界紙のもう1つの雄、「週間住宅新聞」が今月1日に倒産した。残念なことだが、「住宅新報」に頑張って貰いたい。稲盛和夫塾長がJALの立て直しに立ち上がったのは、一社だけでは競争力が働かないから、結果消費者のためにならないと考えたから。
「週間住宅新聞」のネタはまた別の機会に書くとして、本日はわれわれの報酬について考えてみます。現行の媒介(仲介)報酬規程は、47年前の1970年に建設大臣告示で上限が決められています。 売買仲介報酬は売値が基本になっていて、200万円以下であれば5%、200万円超400万円以下が4%、400万円超が3%とし、各部分の合計を超える報酬を得ることを禁止している。 仮に築年数を経た郊外のファミリーマンションが400万円とすると、その報酬額は18万円となる。100万円の空き家物件なら5万円。しかし、空き家物件を仲介する労がファミリーマンションの3分の1とは言い切れない。報酬はサービスの対価だから、その本質はサービスを受けた側の利益や満足度に比例したものでなければならない。 地方の空き家など超低額の場合のみ、報酬規程を別途定める検討もなされているようだが、どこから以下を低額とするかは難しい。結論から言えば、時代の要請は媒介報酬の全面自由化しかないと考える。少なくても金額の多寡で、報いる時代は終焉を迎えた。 平成27年から旧宅地建物取引主任者が、「宅地建物取引士」に名称変更し、命の次に大切と言われる高額資産を扱う仕事なのだから報酬の自由化は当然のことだ。士業の先輩格の、不動産鑑定士や司法書士は報酬が自由になっている。 さらに昨今増え始めている「定期借地権」案件の仲介業務では、例えばガソリンスタンドの定期借地権設定の新設では、売買仲介と全く同じ仕事となるが、定期借地権はあくまでも賃貸借契約ですから、法定報酬額一ヶ月賃料(地代)が上限です。正直なところ、これでは仕事が出来ないのです。 実務的にはコンサル報酬として地主から別途受領したり、建設会社からリベートを得たりしているが、媒介報酬を自由化してしまえばスマートに収まる。「定期借家」と「定期借地」の普及が今後の不動産市場の活性化に不可欠であることは論を待たない。 |