2017,06,24, Saturday
ジャーナリスト井上和彦氏が、2007年2月につまり10年前に上梓したものです。本箱の奥に、ひっそりと潜んでいました。もともと自衛隊大好き人間の、それも優等生クラスに所属する私は、自衛隊に関する本を何冊か所有していますが、ほとんど読んでいません。
ではどうして今頃と思われるところですが、最近安倍晋三首相が憲法9条を改憲して、自衛隊を正式に合法化すると言うのを聞いて、読んでみることにしました。幸か不幸か10年前ですから、数字は大化けしていると思いますが、基本的なところは変わらないと思います。 こんなに強い自衛隊と、この中には書かれていますが、この10年間の中国の軍備拡張は当然この中に書かれていません。この中で、日本人の多くは自衛隊の実力がどの程度なのか、また自衛隊はどのような問題を抱えているのか、そしてなにより自衛隊はとはいかなる組織であるかをあまりにも知らない。 中国、北朝鮮、そして韓国と、世界でも珍しい反日国家群の軍事的脅威が急激に高まりつつある今日、極東アジアの安全保障環境は、むしろ東西冷戦期よりも悪化の一途をたどっている。いまそこ自衛隊はしっかりと機能し、そして国民の付託に応えるべく万策を講じて国の守りを固めねばならないときなのである。 おまけに話し合いなどをするつもりもない北朝鮮に対し、「じっくりと話し合って問題を解決すべき」などという机上の空論を真顔で訴える政治家や、自由・民主主義とは対極をなす共産党一党独裁の中国に媚びへつらい、その脅威に目を瞑る政治家たちのいかに多いことか。 いまや日本人の安全保障感覚は、世界最低レベルといってよかろう。このままではそう遠くない将来に、日本という国が亡くなりかねない。そんな中、平成19年1月9日、防衛省が誕生し、PKOをはじめとする自衛隊の海外派遣任務が本来任務と格上げとなった。 また歴代政府が議論することすら避けてきた、情報組織の創設や集団的自衛権の問題、さらには憲法改正などがようやく議論されはじめたのである。 そもそも集団的自衛権の問題などは、「その権利はあるが行使出来ない」などという意味不明な解釈をこれまで放置してきたこと自体が問題なのだ。本来国民の命を守るためなら、当然世界の国々が等しく有する集団的自衛権を行使することも選択肢とすべきであろう。 にもかかわらずそれが憲法上の制約でできないというのなら、それは憲法がおかしいのであって即刻改正すべきなのである。絵空事のごとき憲法9条に心酔する政治家たちは、いったい何を守ろうとしているのか。守るべきは国民の生命と国土であって、日本国憲法ではないのだ。 自衛隊を「国防軍」として、再編成する必要がある。もういい加減に「自衛隊は軍隊ではない」などという不毛な議論に終止符を打ってもらいたい。少しでも多くの国民に、尊い任務に精励する自衛隊員と自衛隊を正しく理解して頂き、日本の国防そして自衛隊が抱える諸問題を知ってもらいたいからである。 ある意味10年前の提言で古いと言えるのですが、数字はともかくとして、自衛隊の抱える問題、というより国が抱える問題、国民が抱える問題提言は、まさに今に通じるものであります。現実的に俯瞰すれば、この10年間に、政治は何をしていたのだろうか。 |