国土交通省は15日、来春からの高松空港の民営化に向けた手続きで、優先交渉権者に決定した三菱地所を代表企業とするクループの、提案内容を公表しました。空港関係者(民間人)に尋ねても、よく練られた実現可能な計画案だという。
われわれ素人は、優先順位3位になった地元企業のコンソシアムが、地元に儲けを落とすことから「優良」と見がちですが、やはり計画が実現しそうかどうかも「優良」の条件であります。先の民間人によると、流石三菱地所陣営案は良かったし、2位に入ったオリックス陣営案もオリックスの関西空港運営実績からも、良く計画された練度の高いものだったという。
3位の地元コンソシアムは、地元ゆえに当然の登場と言えなくもないが、全国2番目の民間空港化へ、先の2つの陣営が手を挙げて真面目に考えてくれる高松空港は、地方空港ながらそれなりのポテンシャルを持つ空港と見なされているようだ。地元民としては、この見通しが嬉しい。
計画では15年後の2032年の旅客数を、現行の1.7倍307万人まで引き上げる目標を設定している。計画の旅客数目標の内訳は、国内線が225万人(毎日約6,000人)、国際線が82万人(毎日2,000人)。国内では新千歳や中部や福岡へ、国際ではタイやシンガポール、北京などへの新路線誘致に取り組み、国内現行の3から6路線へ、国際7(現行4)の計13路線へ拡大する。
設備投資の規模は明らかにしていないが、ビル内のリニューアルでは、保安検査場から搭乗口までの保安区域を段階的に拡張。区域内の物販や飲食機能を拡充させて、免税店の面積も広げる。先の空港関係者によると、むやみやたらと中央から繁盛店を呼んでくるのではなく、現存の店舗を中心に考えているとのこと。
また新たに設立する運営会社と、自治体や経済団体などで協議会を立ち上げて、官民協働の路線誘致体制を構築する。さらに、高松市中心部や主要観光地への交通アクセス向上にも取り組むという。素人が考える問題点として、私は2つの機能追加を望むのです。
一つは空港アクセスですが、モノレールなどの軌道車が出来れば一番良い。高松築港エリアから空港まで、モノレールが就くと便利になるのは間違いない。羽田空港-浜松町の例を待つことなく、朝夕は通勤通学にも利用できる。雀やカラスには申し訳ないが、中央通りの楠木をのけて橋脚をつくる。あくまでも直線距離だが、この間僅か15㎞。出来ないことはない。
もう一つの機能は、「ILS」と呼ばれる装置です。このILSとは「インストゥルメント・ランディング・システム」の略語で、着陸進入する航空機に対し、空港・飛行場付近の地上施設から「指向性誘導電波」を発射する装置になります。
因みにILSには精度の違いにより、カテゴリーⅠ~Ⅲに分けされており、カテゴリーⅢに至ってはⅢa、Ⅲb、Ⅲcと更に細かく分けられています。勿論高松空港にも、カテゴリーⅡ以下のものは設置されているそうです。しかしこのカテゴリーⅢとなると、目が剥けるほど高額設備になるそうです。
主に精度の高いカテゴリーⅢのILSは、霧の多い空港に設置されていることが多く、現時点でカテゴリーⅢのILSが設置されているのは成田、中部、釧路、熊本、広島、新千歳、青森の7空港になります。ある意味高松は、微妙な空港だと言える。福永JAL高松支店長も、「高松空港は確かに天候調整もあるが、欠航や着陸地変更はそう多くはない」と。
しかしその被害者に一度だけなった私としては、投資対効果を図りながらより一層の高質空港を目指して欲しい。まずはモノレールで、次の次の次ぐらいに、カテゴリーⅢのILSを。南海東南海沖地震の災害対策空港強化策としての位置づけは、出来ないのでしょうか。