学術研究部門特別委員会とはどんなものか。今年から全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)の中に特設された二つの委員会の一つです。委員になるように言われましたが、これまで招集がありませんでした。常設の委員会は、もう3回ほど招集がありました。上の混乱が、あるのでしょうか。
今年から全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)は、静岡県の市川宜克氏が会長に就任されて、宮城県の佐々木正勝氏が専務理事に就任されています。私もこの組織で3年目、良い勉強をさせて頂いています。確かにこの組織が、将来の全宅連の屋台骨になることでしょう。
全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)は、全宅連の中の組織ですが、全宅連・全宅保証・全宅管理・ハトマーク支援サイトと四つの組織(本当はこれに政治連盟がくわわるところですが)がスクラムを組んでいます。
不動産業界は、売買仲介・賃貸仲介から業務が始まりました。そして昭和60年頃から、「賃貸管理業」があらたな業態として認知され始めました。そして今では、全宅連加盟企業は10万社、うち全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)は僅か5,700余社にとどまっていますが、役割を果たしています。
業界の流れとしては、賃貸管理業へすべてが流れ込んでいると思います。不動産業を業として捉えるなら、「ストックビジネス」である「賃貸管理業」しか、継続発展の組織はあり得ないとまで思います。不動産業界はある意味世襲が難しいのですが、賃貸管理業があればある程度の収益は読めます。
その昔のように、地価がどんどん値上がりし、売買仲介報酬が数百万円という時代はもうあり得ません。そのせいもあって、正月から相続では、基礎控除額が現行の6割にまで削減されます。その位、地価は下落しています。人口減の昨今の環境下では、地価の高騰はあり得ないとおもいます。
さて話しを特別委員会に戻しますが、第1回の学術研究部門特別委員会では、「相続に伴う資産管理に係る賃貸管理業のあり方について」、㈱ニッセイ基礎研究所の篠原二三夫室長から民事信託等を加えた相続の現状について説明がありました。
要するに、アパートマンションを建設することは相続税対策としては抜群の効果があるが、長期間にわたって客付けが出来るかどうかが心配されるところです。これに対して大手ハウスメーカーは、30年一括借り上げを唄い文句にして、新築案件を奪い取っています。しかしこれとて、将来は分かりません。
これに対して全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)では、オーナー様の「資産管理」という切り口で、信託を前面に押し出した相続対策でオーナー様の期待に応えようと考えています。その対策の窓口が、この学術研究部門特別委員会です。座長は明海大学不動産学部中城康彦教授で、7名の委員のうち、3名は学識経験者です。
信託は確かにアパートマンションを数多く所有するオーナー様には、是非活用して頂きたいアイテムだと確信します。今の民法に定める相続とは異なる手配が、この信託では出来ます。
例えとして適切か少し疑問も残りますが、先祖伝来の田を宅地化し、そこにアパートマンションなどの賃貸共同住宅の建設をしたとします。それを長男に相続させると考えている両親は、そのように遺言もして準備をします。もちろん他の相続人も合意しています。
ところが本来なら、○○家の財産として継承しょうとしているアパートマンションが、子供がいない長男に渡って次の二次相続になれば、その時は○○家を離れて、長男の奥様の兄弟及びその子供つまり甥姪に渡ります。これでは○○家の財産資産ではなくなるわけです。
これが「民事信託及び家族信託」と呼ばれている「信託法」であれば、長男へ相続させたアパートマンションなどの賃貸共同住宅を再び○○家へ戻すことが出来るのです。平成18年の信託法改正で、このような資産家及びプチ資産家への選択肢が増えたわけです。
そしてそれを業務に取り込もうとして全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)は、動きはじめています。宅地建物取引業法の流れとして、「宅地建物取引主任者」資格が「宅地建物取引士」に名称変更になります。併せて、「宅地建物取引士会」の発足も取りざたされています。
私は失礼ながら、「宅地建物取引士会」などいらないと思います。会費負担が予想されます。つまらない前向き施策とは言いませんが、全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)の相続への取組は、大いに期待するところであり、これまでのように是非成果物として完成させて欲しいと願うところです。