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日本迷走の原点バブル1980-1989 by永野健二
何かの記事で、表題本の紹介をしていました。これまでにも「昭和バブル回顧録」のような本は沢山出ています。私も当然全てに目を通した訳ではありませんが、過ぎ去った夢が懐かしい的なものと、「誰か」の責任だという犯人捜しの本が多かったと思います。

本書も、その類いと全く質が別だとは言い切れませんが、私は先に小欄にも書きましたが、2度読みするくらいの迫力のある力作だと感じました。当時のことを、国内の経済社会面からも海外の政治経済の歴史からも顕彰を加えている。また登場人物についても、実に丁寧な扱いがなされている。その中からアトランダムに、いくつか紹介する。

1980年代後半に、日本はバブル経済を経験しましたが、バブル経済とは好景気のことではない。特定の資産価値(株式や不動産)が実体からかけ離れて上昇することで、持続的な市場経済の運営が不可能になってしまう現象をいう。

グローバルな資本主義はおよそ10年周期で危機をくり返し、政府のコントロール能力を弱体化しつつ、不安定さを増している。その端緒といえる87年10月19日のブラックマンデー、グローバル化が進んで、世界の金融・証券市場が一体化したことを象徴する事件だった。

それから10年後の97年にアジア通貨危機が起こり、ヘッジファンドの雄、ジョージソロスがロシアやタイの通貨で巨額の富を得る。また10年後、08年リーマン・ブラザーズの倒産を引き金とした金融システムの危機は、世界がもはや危機においても一体であることを示した。

そして16年、中国の株価暴落に端を発した世界経済の混乱は、英国のEU(欧州連合)離脱という予想もしない事態を前に、一段と混乱の度合いを深めている。それでも、世界のグローバル化と金融化(カジノ化)に歯止めはかからないし、かけることも出来ない。

80年代のバブルの増殖と崩壊とは、戦後の復興から高度成長期、つまりアメリカへのキャッチアップの過程を、日本固有の資本主義=渋沢資本主義によってなんとか乗り越えた日本が、70年代前半のニクソンショック、変動相場制への移行、そして73年の第1次オイルショックという世界経済の激動のなかで直面した第二の危機であり、変革期の産みの苦しみであった。

日本は新しい仕組みや制度改革を先送りしてごまかしたことで、第二の敗戦ともいうべき大きな痛手を被った。その大きなツケを支払う過程が、「失われた20年」といわれる、バブル崩壊から現在まで続くデフレ状況である。アベノミクスというのは、80年代のバブルの時代の失政を償うための経済政策でもある。

「上げるところで金利を上げなかった日銀の罪」「機関投資家に株を買うように誘導した大蔵省の罪」「不動産融資にのめり込んだ銀行の罪」「特金・ファントラをリスクなき財テクのように扱った事業会社の罪」「会社の価値を収益ではなく含み資産で計算した証券会社の罪」。

バブルの起点である86年から30年がたった。日本は「失われた20年」を経て、デフレという一見当時とは逆の環境にあるようにも見える。しかし何かあの頃と、80年代と似たものを感じている。投資用マンションに、異常なまでの人気が集まっている。

87年はNTT株公開とブラックマンデーの年であり、92年は株式だけでなく土地も含めたバブルの崩壊がはっきり確認された年である。その間に日経平均が最高値38,9575円をつけた89年12月29日の大納会が挟まっている。

今になって振り返れば、この日は、まさに日本の戦後システムにとっての「敗戦記念日」。日本の戦後の経済史の中で、いやもしかすると世界史のなかでも、第二次世界大戦後のもっとも重要な転機に、著者永野健二氏は日本経済新聞の記者として活躍されていた。

あとがきで著者は「バブル」とは、何よりも野心と血気に満ちた成り上がり者たちの一発逆転の成功物語であり、彼らの野心を支える金融機関の虚々実々の利益追求と変節の物語である、と書いている。

そして変えるべき制度を変えないで先送りしておきながら、利益や出世には敏感な官僚やサラリーマンたちの、欲と出世がからんだ「いいとこ取り」の物語である。そして最後には、国民ぐるみのユーフォリア(熱狂)である。


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| 社長日記 | 09:42 AM | comments (0) | trackback (0) |

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