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市場と権力「改革」に憑かれた経済学者の肖像
私も熱心に、最初から最後まで2度読んだ本は、そう多くはありません。佐々木実氏が、竹中平蔵氏を改革のメンター(指導者)として紹介し、彼の人生の軌跡をたどったレポートとして書き上げた本です。2013年4月に上梓されたものですが、8月のお盆前にはアマゾンでも手に入らず、ワクワクしながら地元宮脇書店本店で一冊入手してから1ヶ月半。

この本の存在を、私は知りませんでした。経済アナリストの藤原直哉氏の6月の講演で知りました。それからでも入手までに時間がかかりました。違う佐々木さんを探していました。藤原氏の話だと、安倍第二次内閣で竹中平蔵氏の名が再登場するやいなや、永田町の議員はもちろん秘書その他関係者までに広く読まれて、口コミで広がった本のようです。

小泉純一郎元総理大臣と竹中平蔵元経済財政政策担当大臣兼金融担当大臣がタッグを組んで、「構造改革」政策の最大の課題とされる「不良債権処理」「郵政民営化」成し遂げたのをわれわれもよく覚えています。小泉改革には、いまでは賛否両論が堂々と言われています。全国でタクシー台数が倍になって、収入が半減したと軽口も聞かれます。

その後小泉純一郎元総理大臣は颯爽と若くして勇退し、息子小泉進次郎氏に後進の道を譲り、政界への影響は全くない(と世間では思われている)。それに引き換え竹中平蔵元経済財政政策担当大臣兼金融担当大臣は、安倍第二次内閣で、民間委員として蠢きだしている。若い彼は、小泉のように飛ぶ鳥あとを濁さずのように格好良くは退けない。未練も影響力もある?

この本が上梓されたから竹中平蔵氏が蠢きだしたのか、竹中平蔵氏が蠢き出したから暴露本が上梓されたのか、はたまた両方が全く偶然だったのか、興味は尽きないところです。本が売り切れていても、初版本は1冊、必ず地方の有名書店に配本されていると聞いたことがありました。私はその一冊を手に入れました。

この本はずばり、竹中平蔵氏の悪行を、書き連ねた内容になっていると私は感じました。参考文献一覧を見ても、日本人著者文献数59冊、外国人著者訳本18冊、新聞8紙、雑誌23冊からの引用文を使っています。竹中平蔵氏について、和歌山県での誕生から、アメリカでの生活ぶりまで実によく調べて書いています。決して思いつきや、醜聞をまとめたという低レベルの本ではありません。

登場人物もほとんどが実名です。下手すると名誉毀損で訴えられかねない危険性も孕んでいます。私もかねてより、小泉(小泉純一郎元総理大臣)竹中(竹中平蔵元経済財政政策担当大臣兼金融担当大臣)が、日本郵政マネーをアメリカに売り払おうとしていると聞いたことがありました。奴らは売国奴だとも。

しかしその本質を、これほどまでに克明に書き記した本を目にしたことがありませんでした。アメリカの大手シンクタンク、稲盛和夫塾長の本にも登場する戦略国際問題研究所(CSIS)が92年に作成した報告書では、日米構造協議をやめ、職業訓練、老人医療、大量輸送機関などのインフラ整備を両国で協議する方向へ転換するとまとめられています。

注目すべきは、こうしたインフラ整備の財源として、日本の「郵便貯金」が活用できると指摘していることです。アメリカの国内政策に、日本の郵便貯金を投入するという発想です。1993年3月現在で、合計170兆円の郵便貯金の資金があったとも書かれています。

首相にまでのぼりつめた小泉は、「郵政民営化」を「小泉構造改革の本丸」と位置づけることになります。郵政民営化は、自民党郵政族議員の巣窟旧経世会(後継者小沢一郎)勢力を、崩壊へと導く総仕上げでもあったのです。そもそも小泉純一郎の父親は、郵政族議員で郵便局長をまとめていました、小泉純一郎最初の選挙で、その郵便局長会が寝返って落選します。

全国25000局近くある郵便局の運営コストは、実際はそのコストの6割を郵便貯金事業、1割を簡易保険事業でまかなっている。郵便事業が負担しているコストは全体のわずか3割に過ぎず、郵便貯金、簡易保険を引き離せば郵便局ネットワークは崩壊すると騒がれたとも書かれています。

すなわち郵政事業から郵便貯金、簡易保険という金融事業を切り離して市場で売却する。世界最大規模の民営化を実行するに当たり、竹中平蔵氏は金融部門の売却に徹底して固執するようになります。財政投融資の時代から、郵便局は市井の集金基地に変わりはありません。

郵便貯金と簡易保険をあわせて350兆円にのぼる「郵政マネー」が、竹中平蔵大臣の手に委ねられることになります。勿論海の向こうのリトルブッシュ(ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領)も、大喜びしていることでしょう。だからブッシュの別荘に小泉らは招かれたのです。ブッシュ大統領は小泉が好きだったのではなくて、小泉がコントロールする郵政マネーが好きだったのです。

2001年4月26日の小泉内閣発足から2006年9月26日までの5年5ヶ月に及んだ小泉一郎内閣のそもそもの方針は、財政出動をできる限り押さえる一方、金融緩和政策を積極的に行って、財政を再建するとともにデフレーションを解消し、税収を高めるというものであったのです。

「骨太の方針」(「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」)として内閣発足後2ヶ月目に発表した内容は、翌年度予算の国債発行を30兆円(今は50兆円)以下に抑えること、またその後はプライマリー・バランス(基礎的財政収支)を黒字化するという緊縮路線でした。

「需給喚起策」を標榜した竹中平蔵氏の先輩格堺屋太一氏は、私が経企庁長官をつとめた小渕内閣は、景気対策と構造改革とを一緒にやりました。だから長銀(日本長期信用銀行)、日債銀(日本債権銀行)、そごう(百貨店)などを処分した時でも株価は上がった。十分な輸血と麻酔を打ったあとで手術をするという発想だからと言っています。

やがて2010年までに、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)を黒字化するという大枠を入れます。基礎的財政収支とは、国債発行分を除いた税収などの「歳入」から、債務の元利払い分を除いた「歳出」を差し引いた数字で、これを黒字化するという財政均衡主義を正式に採用します。

その結果、「構造改革」は地方交付税交付金や公共事業を大きく削り落とします。さらには医療や社会保障といった生活に直接影響を及ぼす分野にまで、予算削減で斬り込んでいく。製造業における派遣労働の解禁など相次ぐ規制緩和策と相まって、「痛み」は地方都市や低所得者層を襲った。

これが日銀の、5年半に及ぶ超低金利となるわけです。結果として、「量的緩和政策」(通常は政策金利を上げたり下げたりして、市中に出回るマネーの量を調整します。しかしここでは、民間金融機関が日銀の口座に預けている日銀当座預金の残高に目安を設けて、ベースマネーを増やしていくことで金融緩和を実施する)が続きます。

そしてベースマネーの膨張は、円安効果を生みました。強力な円安誘導が輸出企業の潤し、企業業績を押し上げるようになります。こうした日銀による大量マネーの供給を歓迎したのは国内の輸出企業のみならず、沸き立ったのは海外の投資家だった。金利の安い安い日本円を買って、アメリカで運用しただけでも利ざやが稼げる。

そして日本郵政はアメリカに出資せよと、というタイトルに続きます。これ以上書いても意味がないので、このくらいにしておきます。私は感想として竹中平蔵氏の行いが良いとは思いませんが、犯罪者ではないという現実です。例えば1月1日に住民票が国内になかったら市民税が課税されない。これを彼は雑誌の対談で述べています。

小泉純一郎元総理大臣も竹中平蔵元経済財政政策担当大臣兼金融担当大臣も、その時代の寵児だったわけで、それをわれわれも世間も認めたわけです。世間が認知したような、マスメディアが煽ったような、政治政策は難しいですね。庶民の一票がなければ議員になれない。しかし庶民の要望に答えたら国の財政は破綻する。反省を含めて、私の自宅にこれが納まります。


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| 社長日記 | 08:20 AM | comments (0) | trackback (0) |
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