公益財団法人不働産流通近代化センターは、不動産コンサルティング技能登録制度発足20周年を記念して名称を「公認不動産コンサルティングマスター」に変更し、その後大変な勢いで専門的な勉強会を主催しています。
本日も標題のタイトルで、近代化センター主催で案内が来ていましたが、不動産コンサルティング中央協議会主催、参加費無料の「不動産コンサルティングに関わる海外調査総合報告会」として開催することとなりました。受講生からすると、どこの主催でも良いので安いにこしたことはありません。
まず不動産コンサルティングに関わる海外調査総合報告として、明海大学不動産学部中城康彦教授から、海外調査の概要等の説明がありました。明海大学は、日本でただ一つ不動産学部を持つ大学です。中城康彦教授は学部長であり、看板教授でもあります。
中城康彦教授は一級建築士、不動産鑑定士の資格を併せ持ち、アメリカで不動産投資の実務も経験された、不動産学のプロ中のプロです。最近はアメリカの「全米リアルター協会」(NAL)の話題も良く出ます。昨年「中古住宅流通活性化」事業でご一緒した国土交通省土地・建設産業局不動産業課不動産業政策調整官小林正典氏もNALの話しをよくされていました。
また昨日久しぶりに拝顔したE・Hさんは、一般社団法人日米不動産協力機構(JARECO)を立ち上げています。NALの日本での窓口です。アメリカでは不動産情報が、実に細かくインターネットに掲載されています。そしてNALの会員100万人がそれを見て比較検討しています。
不動産情報の透明化が、実に細かくなされていて驚きます。勿論英語のページですからすべては理解できませんが、固定資産税までも掲載されています。日本では個人情報保護法違反と言われかねません。公立小学校中学校の校区も、掲載されています。周辺生活環境も一目瞭然です。
さらに私が驚いたのは、E・Hさんから、香川県宅建協会の売買物件資料を、NALのデーターベースMLS(マルチプル・リスティング・サービス)に掲載しないかというお誘いです。要するに、世界へ発信する不動産情報を開示する時代に来たようです。日本の得意な不動産慣習や商慣習なども、世界の常識からすればはじかれるようになるのかもしれません。
まさか英語での物件確認の電話が入ることはないと思いますが、その時は「電話を切る」のだそうです。それは冗談ですが、本日講師の明海大学不動産学部中城康彦教授や日本大学周藤利一教授、㈱ニッセイ基礎研究所篠原二三夫室長 さんらの話し、昨日のE・Hさんから話し、それらが見事につながりはじめました。
米国・英国・独国の不働産流通や不動産コンサルティングに関しては、㈱ニッセイ基礎研究所篠原二三夫室長さんが話をして、東南アジアの中国・韓国・台湾・シンガポールは日本大学周藤利一教授さんが解説を加えていました。結論から言えることは、東南アジアは日本を見ているのです。欧米は、やはりアメリカのシステムがまだまだ日本へ入ってきそうです。
何でもかんでもアメリカナイズは、私にも抵抗がありますが、アメリカのコンピューターシステムの透明性の確保、言われて久しい情報の非対称性の解消、私が良く言う「見える化」などは、まだまだアメリカの物まねをせざるを得ないと感じました。
そして最後に必ず「倫理」「コンブライアンス」について、一言があります。しかし不動産プレアーは、倫理観と言うよりは「損得勘定」で倫理に取り組んでいます。のけ者にされると仕事が出来ないのです。
本日はいろいろカルチャーショックを受けましたが、中城康彦教授から「Leaseholdリースホールド」を日本の定期借地権と訳しては誤訳だという発言には驚ました。午前中に、定期借地権の大家と言われている戸谷英世(特定非営利活動法人住宅生産性研究会理事長)と、意見交換をしたところでしたから。
勿論戸谷さんは、「定期借地権」をリースホールドと訳していました。一般的にはこう言われていますが、中城康彦教授は、欧米の不動産は日本のように、土地も不動産、建物も別の不動産という概念がない。不動産は土地であって、建物はその一部にすぎないという解釈です。
従ってリースホールドは、「定期賃借権」と訳しているのが多いようです。学問的なことはよくわかりませんが、日本で言う「「定期借家権」がリースホールドの和訳のようです。大変興味深い話しをありがとうございました。