2014,01,26, Sunday
似たもの同士、刑務所に収監された3人の吐露本を読んでみました。それぞれが、あの人ほど私は愚かではなかったと回顧しています。今日は、熊本の平井紀元さんの49日(7日×7回)に駆けつけました。その道中でも、面白おかしく読ませて頂きました。
3人は、最初に㈱林原専務取締役林原靖氏の「破綻」、第2に大王製紙創業家三代目井川意高氏の「熔ける」、3番目はホリエモンこと堀江貴文氏の「ゼロ」です。それぞれが違う職業に就き、それぞれ経営者として名をはせ、もしかしたら歴史に名を刻むかも知れない可能性のあった3人です。 「破綻」はバイオ企業林原の事実by林原靖。2013年会社更生法を申請した、岡山県岡山市の世界的優良企業「林原」は、銀行に潰されたのか?弁済率93%の倒産の不可思議と題して、当時の専務取締役林原靖(4男)氏のしたためた、倒産への議事録です。 これを読むとメイン銀行の中国銀行とサブの住友信託銀行のやり口が赤裸々に書かれています。あの林原の御曹司ですから、自分らの代に三代続いた国際的な技術を持つ会社(非上場企業)を結果倒産に追いやってしまった経営者側の、手前勝手な記載もあるとは思いますが、非上場企業だから出来た業績も多く、大塚製薬と組んだ世に出した「点滴液」など、社会貢献も大です。 後半の168頁に、「これからは、日本のベンチャーや中小企業は決して銀行融資をあてにしてはならない。日本では完成された大企業でないと、十分な融資を受けることがむずかしいからだ」と警鐘をならしています。よほど金融機関に恨みを持っているとしか、書きようがありません。 また帯書きには、「この破綻劇のキーとなる役者はいったい誰だったのか。その理由は何だったのか――わたしはいま、はっきりと確信している。破綻劇の幕を開けてしまったのはメインバンクの中国銀行とサブの住友信託銀行だと」。 林原は明治16年、岡山の地で水飴製造メーカーとして創業して、四世代、百三十年にわたり世界に知られる「バイオ先端企業」として発展してきた林原が、突然、会社更生法を申請して破綻してしまいました。彼は専務として、兄の林原健社長とともに経営の責任ある立場にいました。兄弟の確執にも少し触れています。 201頁ですが、「結果として銀行は、産業全般を支えるという基本的役割を放棄し、日本経済の沈滞をもたらしたのではないか。いや、その現況ではないかと私は思うのです」。それでも負債総額1500億円は、研究開発費が命運を分ける業態の企業でも、本人が言うように正常の企業とは私には思えない。 要するに潰す必要のない企業(林原)を、中国銀行と住友信託銀行が潰したという恨み節です。面白いことに、次回登場する大王製紙創業家三代目井川意高氏のことをギャンブル狂とけなし、自分は違うと書いています。 これを読んでみると、銀行のあり方もこんなものかと妙に納得するのですが、それでも懐が甘かったのではないかと林原靖氏の経営理論も空虚に感じます。企業は業績が良くて収益を上げ続けていても、いつどんなリスクが追い打ちを掛けてくるか分からないものです。 農薬混入事件も、その一つです。容疑者が逮捕されて、収束に向かうようですが、何があっても潰してはならない組織が「会社」です。井川一族の言うことも分かりますが、残念としか申し上げようがないです。決して銀行が悪いのではありません。 |