2014,09,18, Thursday
平成27年度税制改正要望事項が各省庁において発表され、総額が100兆円の大台を超えています。税収が大雑把で50兆円しかない中で、使うのが100兆円というのは、どう考えても気が狂っているとしか言いようがない現状です。
私の主張は空理空論かも知れませんが、せめて収支相等、国債の償還を除く単年度収支を黒にしなければ、国として永遠に存続するのは難しい。加えてこれまでの国債の償還があります。まさに先送りの政治ですが、自然環境の破壊、借金のつけ回し、人心の荒廃の大きなところだけでも三大苦です。 という総論はまた別の機会に書くとして、本日のネタはまたまた国土交通省がらみですが、国土交通省からは、土地住宅に関係する概算予算の項目が公表されました。注目すべきは、空き家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税に関する所要の措置を講ずる制度が新たに盛り込まれたことだと思います。 これは、空き家の全国的な増加が懸念される中、特に危険な空き家の除却・適正管理を促進し、市町村による空き家対策を支援する観点から、 土地に係る固定資産税について必要な措置を講ずることを内容としています。はっきり言ったら、地方公共団体の減収分を国が補填するという仕組みです。 空き家に関する問題は昨今、全国的な問題になっており、これらを早急に解決することが国にとっても喫緊の課題であるため、このような要望項目が盛り込まれています。即効性を求めた結果です。 この仕組みを、小欄らしく簡潔に易しく解説します。一口で言うと土地建物は、「住宅用」に何かにつけて「割安」の措置が講じられています。具体的に固定資産税で説明すると、更地(駐車場のような土地とお考えください)の固定資産税に対して、住宅(貸家を含む)を建築すると、固定資産税が約1/6に軽減されます。 逆に住宅を解体すると、この特別控除(固定資産税が約1/6に軽減)が外れて、元の更地価格に戻ります。これを払う側からすると、「6倍に増えた」となるわけです。解体の理由は問いません。とても危険だからとか、建物の固定資産税がかからなくなるからといういろいろな理由は関係なく。 自分の意思で解体する場合は、諦めもつく?のですが、周辺の住民が「危ない」と感じても固定資産税の仕組みからも、家屋所有者はついついためらってしまいます。また昨今は、放置家屋も散見されるほど、「空き家」が増えています。 本来、固定資産税を徴集するのは市町村の権限です。そして固定資産税に占める市町村の税収割合は60%にも及びます。国の方針でも、被害を受けるのは地方の市町村です。だからその損失を補填するから、「国は方針を貫くので宜しく」という国土交通省の予算申請です。 何だか矛盾も感じます。ゆっくり話し合いをして、制度自体を変更するのが本来的解決でしょうが、危険は差し迫っています。急いで取り組むとなれば、こういった方法も仕方ないかも知れません。これを言い出すと、国税と地方税のそもそも案分方法も見直しが必要ですね。 この「住宅優遇策」は、この固定資産税だけではありません。国の税金に対する考え方は、当然のことですが一貫性を持っています。至近な例としては、相続税の「小規模宅地の評価減」等があります。 「住宅」は、例えば旦那様名義であってその旦那様が死亡しても奥様(配偶者)がそのまま居住することが多いですね。だから住宅等の相続に対しては、評価額が軽減されます。従って、相続税も割引になります。都会ではただ一つの財産である住宅でも、相続人間で争いがあります。 あくまで現段階の案でありますが、平成27年度税制改正の議論は、今後省庁間等の折衝を得て、今年12月の政府税制調査会税制改正大綱で公表されます。その案に対して、1月からの通常国会で審議されて、3月末までには成立する予定です。さてどうなるか。 (国土交通省ホームページ) |