2014,12,23, Tuesday
私も相続に関しては、そこそこ勉強を続けているつもりです。ところで最近のセミナーで聞いた話しで、なるほどと感心するネタがありました。標題の通り、「生命保険の活用」です。「何を今更」と罵声が聞こえるのですが、そうなんですね、生命保険の活用は相続対策の古典です。
来年からの相続税制の変更でも、この生命保険は今のままで変更がありません。つまり、相続人1人500万円までは非課税です。この程度の話しは、私も聞いていました。受取保険金は、みなし相続財産として取り扱われて、4人の相続人であれば2000万円までは非課税です。 しかしこれは、契約者=父親で被保険者=父親で、父親が死亡した時に相続人に渡る場合です。これがみなし相続財産ですが、私は受取人=全相続人と漠然と考えていました。今回の学びで、この相続人を例えば長男とかに指定することで、相続の兄弟喧嘩が防げることを知りました。 つまり日本人の相続財産は、不動産が圧倒的に多くて、これからも分かるように均等に分割することが難しいのです。そうなんです、その穴埋めを「代償金」と言って金銭で補うのですが、これの原資が先の保険金というわけです。この程度なら私の既存の知識でも補えたのですが。 実はこのみなし相続財産は、正確には「代償金」にならないのです。別にお金を貰えば文句はないと思いがちですが、よく知っている相続人はここを追求してくるのです。だから相続人と指定せず、(相続人の中の)長男と指定するのです。相続税の課税ではみなし相続財産となりますが、あくまでも長男が貰えます。 また相続対策に「遺言」が有効と言われていますが、これは正しいのです。よく勉強されている読者は、遺言で例え長男に全財産を相続させるとしても、その他の相続人に「遺留分(いりゅうぶん)」と言って侵害することが出来ない権利があることを承知されています。 遺留分は、本来民法の規定で指定している取り分の半額が、遺留分です。当然の権利として規定されているのですが、現実的にはこの権利の行使は、簡単ではありません。つまり権利を主張して裁判まで行かなければ、争いは起こらないのです。 先の遺言で不動産などの登記名義は長男に渡り、預貯金などの金融商品も問題なく長男が懐にします。臍をかむ思いの次男や長女は長男に対して、遺留分減殺請求の訴えを裁判所にしなくてはなりません。そして判決を得て、取り返すことになります。私もこの裁判に立ち会ったことがあります。 本来の生命保険に話を戻しますが、例えば家を継ぎ家業を継いでくれている長男に事業承継させようと思う親は、保険契約者=長男、被保険者=父親、受取人=長男とする保険契約を保険会社とします。保険料の頭金は贈与して、その後の支払を長男がするとか、あるいは保険金が数千万であれば保険料の先払いもあるでしょう。 この保険契約であれば、受け取った保険金は、長男の「一時所得」になります。こうなると先の「みなし相続財産」とはなりません。従って長男固有の財産ですから、真の代償金となります。これを使って、長男は裁判で負けて支払を言われた時の原資にするという仕組みです。 この「一時所得」も、給与やボーナスと同じ「所得」の一つですが、課税計算方法が異なります。受け取った保険金から支払った保険料を差し引き、それから一律50万円を控除してその後に1/2します。結論から言うと、課税額は少ないのです。では幾らの保険金の保険に入るか。それは被相続人の財産次第です。 |