久しぶりの、池田清一郎氏が主宰する池田塾です。会場はリーガロイヤルゼスト高松。日本銀行髙松支店大川昌男支店長の講話だというので、駆けつけました。本日の話題は、1.金融経済情勢と日本銀行の金融政策2.香川県の金融経済情勢と香川創生です。
聞き終わって、本当に時間を忘れて没入という世界でした。「マクロ景気」とは、私も聞いたことがありますが、大川昌男支店長は、「一国全体の経済活動の水準」と定義しています。ただし、マクロ景気が良くても、景気の悪い人はいるしマクロ景気が悪くても、儲かっている企業はあります。
景気を図る方法として、「国内総生産(Gross Domestic Product)」を用いますが、「総生産」=「総所得」=「総需要(総支出)」の三面等価の原則
「総需要」=「内需」+「外需(純輸出=輸出-輸入)」
「内需」=「民間需要」+「公的需要(公共投資、財政支出)」
「民間需要」=「個人消費」+「設備投資」+「住宅投資」
日銀はこの民間需要を上げる仕事をしている。
「三本の矢」の役割分担
「第一の矢」=大胆な金融政策
「物価の安定(2%インフレ目標)を通じて、デフレギャップを解消し、経済を潜在成長軌道に引き上げる。
「第二の矢」=機動的な財政政策
金融政策が実体経済に好影響を与えはじめるまでの間、需要を支える。
「第三の矢」=民間投資を喚起する成長戦略
潜在成長軌道そのものを引き上げる。
そして大川昌男支店長の話しから、日銀が積極的にアクションを興していることが分かります。
「量的・質的金融緩和」の導入(2013年4月)
強く明確なコミットメント
2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。
量的・質的に大規模な資産買い入れ⇒コミットメントを裏打ち
・マネタリーベースの増加(60~70兆円/年)
-長期国債の保有残高の増加(50兆円/年)
・残存期間の長い国債の買入(3年弱⇒7年程度)
・ETF・Jリートの買入(1兆円/年・300億円/年)
3つ合わせて「2年で2倍に」
「物価安定の目標」の安定的な実現に必要な時点まで継続
「量的・質的金融緩和」の拡大(2014年10月)
大規模な資産買入の量的・質的な拡大⇒コミットメントを一段と強化
・マネタリーベースの年間増加ペースを「60~70兆円」から80兆円に拡大
-長期国債の保有残高の年間増加額を80兆円に「+30兆円」
・長期国債買入れの平均残存期間を「7年~10年」に「+3年」
・ETF・Jリートの買入ペースを3倍
このように日銀が積極的牽引力となって動いていることを、内外共へ「見える化」していることがこれまでの日銀のイメージと違っていると私は思います。そこで質問、「日銀の仕事は物価の安定」が一番と学んできた。日銀が物価を上げるというのはこれまでの方針を明らかに変えることかと。
大川昌男支店長は、「いや変わっていません」。「物価の安定」という観点で何ら変わることではありません。(これまでのデフレ経済下での物価の安定策としては)物価の上昇策とらなくては、データー上はマイナス成長に陥ってしまいます。
実に明快なお答えです。この人凄いなと感じました。最後に地方再生の処方箋で、人不足が香川県の一番の問題だと指摘されています。働く人も不足、定住人口も不足。そのための移住の促進です。香川県は何でも揃っているから、茹でカエル?
紹介されなかったスライドから拾い読みしてみます。
1世帯当たりの預貯金残高の謎
香川県は、全国第2位(平成25年)なお平成21年22年は全国1位。何故か??
(仮設1)安いうどんをサッと食べてよく働くから
(仮設2)自然災害が少なく、臨時出費のために預貯金を取り崩すことが少ない?
(仮設3)日本銀行券保有や有価証券保有よりも、預貯金が好きだから
(仮設4)ロトなどの宝くじによく当たるから
(仮設5)香川の女性は、就業率が高いほか、しっかり者が多く、へそくりもタンス預金でなく金融機関に預貯金しているから
移住促進を阻害するもの、公共交通の利便性が良くないこと、働き口が見つからないこと等があります。そして観光振興の重要性も訴えていました。なるほどなと思い当たるところが大でした。