2015,08,07, Friday
相続アドバイザー協議会・野口賢次副理事長が長く書いているレポートです。私も、野口さんの学童です。少しひねた学生ですが。相続アドバイザー協議会では、「相続アドバイザー」資格を認定しています。勿論そのための学習と、試験があります。
私もその昔、集中講義を受講しました。今も、上級相続アドバイザーの末席にいます。もう10年も前になりますか、「相続」の相談窓口になることは、私の宅建業者としての生涯を掛けた課題であると考えたわけです。そのための先行投資ですから、時間も費用も惜しみなく(本当は惜しかった)つぎ込んだのです。 その野口さんからの、「野口レポート」。全くの同感です。許可を得て転載します。 相続税改正から7ヶ月 相続税制改正を受け、平成27年1月1日の相続から相続税基礎控除(以下基礎控除)が引き下げられました。昨年までは、テレビ・新聞・経済誌・週刊誌等が大見出しで取り上げ、知識の乏しい一般市民の不安を必要以上にあおりました。 ビジネスチャンスとばかり、ハウスメーカーなども盛んに相続税対策セミナーを開催しました。借金の怖さが分からず、提案されるがまま節税対策をしてしまった人もいます。 あれから、半年が過ぎました。実際に相続現場での影響はどうでしょうか。この7ヶ月で、相談を受けた相続案件の分析です。 ①相続税の課税されない人→45% ②特例(申告が必要)が受けられ相続税が課税されない人→15% ③100万円前後の相続税が課税される人→15% ④300万円以上の相続税が課税される人→20% ⑤1億円以上の相続税が課税される人→5% ②の層は昨年(改正前)までは、基礎控除以下で、何もしなくても相続税が課税されなかった人です。③の層は、昨年(改正前)までは、小規模宅地の特例等の要件を満たし、相続申告すれば課税されなかった人です。 この分析はあくまでも今年に入り、「アルファ野口㊟(代表取締役野口賢次)」(神奈川県川崎市)が受けた相談や、受託した相続案件が対象です。地域性などで割合は異なってくることを承知の上、参考にして下さればと思います。 今回の基礎控除の改正で、影響を受けるのは②と③と④で、⑤は大勢に影響しません。また(㊟自宅など)小規模宅地の特例も240㎡から330㎡までに拡大されました。要件を満たせば、基礎控除の引き下げを吸収してしまう相続もあるでしょう。 注目していただきたいのは、大変だとさかんに言われていた、自宅と預貯金2000万円前後の③の層の納税額です。払えないお金ではありません。この③や④の前後の層の人たちに、借金を負わせてまで、相続税節税対策をすすめる必要があるかどうかです。 むしろ節税対策より、必要なのは遺言などで争いを防ぐ遺産分割対策ではないかと思います。相続の現場で起きる相続争いのほとんどが、財産の少ない①~③の層で発生しています。 バブル期には、相続税対策の名の下に大きな借金をした人が沢山いました。バブルが崩壊し、価値が急落する不動産に対し、価値が下がらない借金、気がつけば資産と借金が逆転し、債務超過です。資産家が悲惨家となり、相続放棄せざるを得ない地主さんもいました。 地主さんは、大きなお金に無防備です。そして小さなお金にはシビアです。メーカー主催の無料相談セミナーでは、限界があります。有料の相続セミナーは偏らず公平です。目先の費用を惜しまず、正しい知識を得ておくことも自己防衛ではないかと思います。 |