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山崎豊子の不毛地帯映画版を観る
山崎豊子さんが1973年から1978年までサンデー毎日に掲載し、後に新潮社から出版された「不毛地帯」の映像版です。今日私がBSフジで観たのは、1976年の東宝映画です。

主人公の壹岐正(いきただし)は、旧陸軍中佐で大本営参謀。終戦の詔に対し、参謀総長の命令書が出されていない以上、武装解除に応じる必要がないと解する関東軍部隊の説得に努めた人として描かれています。

今年の終戦から70周年報道で、いろいろな情報が私の耳にも目にも入ってきたのですが、その中の一つに「宮城(きゅうじょう)事件」があったと知りました。8月14日の夜、天皇陛下の玉音放送のレコード盤を関東軍が奪おうとした事件だと知りました。

ウィキペディアフリー百科事典によると、宮城事件(きゅうじょうじけん)とは、1945年(昭和20年)8月14日の深夜から15日(日本時間)にかけて、一部の陸軍省幕僚と近衛師団参謀が中心となって起こしたクーデター未遂事件である。

日本の降伏を阻止しようと企図した将校達は近衛第一師団長森赳中将を殺害、師団長命令を偽造し近衛歩兵第二連隊を用いて宮城(皇居)を占拠した。しかし陸軍首脳部及び東部軍管区の説得に失敗した彼らは自殺もしくは逮捕され、日本の降伏表明は当初の予定通り15日12時から行われた。

昭和天皇の聖断によりポツダム宣言の受諾を決めた日本国、金城事件はある意味クーデターです。天皇陛下は、こうした将校らの動きを察知されていて、私も知るあの「爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス」もある意味、国民へは勿論、将校向けの意だったのかも知れません。

またこの「時運ノ趨ク所」にもエピソードが有り、迫水書記官長の長女下荒磯篤子さんの話しとして讀賣新聞に、「父が終戦の勅書」の作成に携わった際、漢文に間違いがあってはいけないからと、陽明学者の東洋哲学を広く世に説いた安岡正篤さんに添削を頼んだらしい。

その時、安岡先生は、戦争を終わらせることに大義があるという立場で、「義命の存する所」と加筆されたのですが、14日の閣議でその部分が分かりにくいとされ、「時運の趨(おもむ)く所」と直されてしまいました。後に父は、「あの文言を削ったために、終戦は大義を失い、日本の政治は理想を忘れて行き当たりばったりになった」と安岡先生に叱られたと書いています。

不毛地帯のストーリーで、壹岐正は日ソ中立条約を犯して侵攻してきたソ連軍に拘置され、重労働25年の刑を宣告されシベリアに送られる。そこで11年の抑留生活をおくることになる。帰国後参謀としての経歴を買われ商社の「近畿商事」に入社し、航空自衛隊の次期戦闘機選定争いの仕事で辣腕を振るうことになる。

連載中に、重なるように実話のロッキード事件、ダグラス・グラマン事件があり、偶然似た題材を扱った「不毛地帯」が話題になったのでが、実在するどの事件の概要とも異なるフィクション作品であるとされています。戦闘機を作る企業がこの3社ですから、話しが一致するのはやむを得ないことです。

当時の週刊誌や経済誌によって、主人公の壱岐正元帝国陸軍中佐は伊藤忠商事の元会長瀬島龍三(旧軍人)がモデルと繰り返されたが、山崎豊子は瀬島がモデルそのものではなく、複数人のイメージを重ね合わせたものと断っているのです。

なお、山崎豊子の他の小説の舞台・登場人物がそのまま本小説にも登場しています。例としては、永田大蔵大臣、大川一郎、阪神銀行、第三銀行など(「華麗なる一族」にも登場)や浪速大学(白い巨塔の舞台)、佐橋内閣総理大臣(運命の人、華麗なる一族に登場)など。この作家の中では、イメージの濃い人はあちらこちらに登場するものです。

それにしても山崎豊子さんの作風というか、発想と取材力には改めて脱帽しました。今日の不毛地帯には続編があるようですが、この前編だけで、もう私の想像の枠の許容範囲を超えてしまいました。どれ一つもあり得ることだと思うし、またそれはないわと思う場面もありました。凄い人です山崎豊子さんは。

そして東洋哲学を広く世に説いた安岡正篤さんの危惧の通り、日本の政治家は、大義を見失い、みんなですれば靖国神社参拝も怖くないと、世界を敵に回してほくそ笑んでいます。一人で特攻へ行った映像と、なぜか二重写りになってしかたありません。


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| 社長日記 | 09:24 AM | comments (0) | trackback (0) |
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