稲盛和夫塾長が1984年に私財約200億円を拠出して稲盛財団を設立し、京都賞を創設されてから、本年は32年になります。京都賞は、科学・文明の発展及び精神的な深化・高揚の面で著しい貢献をした方を顕彰する国際賞で、授賞式は高円宮妃久子殿下のご臨席のもと(今年は喪に服して欠席)、国内外の来賓をお招きして、毎年京都で開催されています。
そして盛和塾塾生も、式典に配偶者同伴で参加が許されます。塾長ご自身が自らの人生観「人のため世のために役立つことを為すことが、人間として最高の行為」を実践しておられることを実感できるこの「京都賞授賞式」を、私も30回からはるか後ろの方で見ています。もっぱらこのあたりが、塾生席です。
会場は、国立京都国際会館。3部門で表彰されますが、先端技術部門は金出武雄博士。基礎科学部門は本庶佑博士、思想・芸術部門は、マーサ・クレイヴン・ヌスバウム博士です。部門ごとに審査委員会で受賞者が選ばれて、その選考理由も丁寧に説明されます。
式典は京都市交響楽団の演奏で、始まります。終わりには、京都聖母学院小学校合唱団43名の受賞讃歌「赤とんぼ」「冬景色」「青い地球は誰のもの」が着物姿で演じます。本来は歌なのですが、振り付け手の仕草など手の込んだ演出もあります。
私は初回の第30回授賞式の時に、彼女らと京都駅からの地下鉄で遭遇しました。私が京都賞の封筒から書類を取り出して見ていたら、対面にいた数人の彼女らが私の方を見て、「あれよあれあれ」のような感じで半ば笑っています。何だろうと思っていたら、京都賞のマークを見て「自分たちが行く京都賞へあの人もいくんだ」という事だったのでしょう。
盛和塾夕食会で、誰かも「癒やされる」と語っていましたが、京都らしさの追求で稲盛財団らしい配慮です。夕食会は、バスで30分程度の八坂神社境内の中村楼のフランス料理です。昔からある食事場所のようで、古い写真が飾られています。いつものことですが、混み混みです。
もちろん式典の後に、式典晩餐会はごく近くのホテルで開催されますが、そこへはなかなか招待されないのです。しかし、一度は覗いて見たい世界です。