2016,11,24, Thursday
次期アメリカ大統領選挙投票前日、私は小欄でトランプ氏の当選があると思うと書きました。それが見事に的中し、トランプ氏が来年1月からアメリカ合衆国第45代大統領に就任する。世界中が変化を求めて揺れている。アメリカも例外ではないと、私は考えたのです。
予想は的中したのですが、為替はドル高円安に推移し、日本の株はその日こそ900円程度の急落があったものの、翌日から持ち直し、元の値を上回って今は日経ダウ平均18,000円を超える高値で元気を取り戻している。投資に疎い私は、2,000~3,000円の下落を予想していた。 対ドル円100円割れ、日経平均は15,000円割れを想定していたのです。トランプ氏の当選には、二者択一でトランプ氏と考えていたのですが内心意外性を感じました。逆に、この株価や為替相場の推移に驚いています。米ドルの独歩高が続いているのです。トランプ氏もわからない人だが、株価も為替も謎ばかり。 新興国に流入していた資金が、トランプ氏の経済政策への期待感からアメリカへ還流していると言われている。新興国からの資金流出が続けば、通貨安に伴う輸入物価の上昇や、ドル建て債務の負担増が新興国の景気を冷やすことになる。資源国にも同じ事が言える。 選挙前の8日と21日の対ドル通貨安が顕著なのは、メキシコ・ペソが11%下落で1位。メキシコ中央銀行は17日、政策金利を0.50%引き上げ、利上げでペソ安を抑えようとしたが収まらず、1ドル=20ペソの最安圏内で推移している。メキシコとの国境に塀を作る(障壁を作る)という台詞も、かなり効いている。 ブラジル・レアルと、マレーシア・リンギットも各6%下落。日本・円も5%程度安くなっている。中国・人民元も21日の上海外国為替市場で一時、約8年5ヶ月ぶりの安値をつけている。私は当然、新興国との関係は、この動きが一層加速すると読んでいる。しかし日本に対しては、これとは逆の数字を予想していた。 通貨安は、繰り返すが日本にも波及している。円相場は1ドル=111円まで円安が進んでいる。今月9日に一時、1ドル=101円まで円高となってから、約2週間で10円近くも円安になった。しかし日本では円安に伴って株価が上昇していて、新興国とは違う動きをしている。一番の肝は、やはり株価だ。 イギリスのユーロからの離脱を選択したイギリス市民、韓国の朴槿恵大統領周辺の疑惑対する国民の反対デモ、日本の小池百合子東京都知事誕生の市民力、そうして大方の予想に反してトランプを大統領に押し上げたアメリカ市民。いずれにも、市井の庶民の怒りと意志が込められている。 それにしてもわからない、一連のトランプ現象。トランプ氏の政策の真意もわからないし、それに対する影響も計り知れない。しかし国民が求めているのははっきりしていて、「変化」を期待していることは間違いないことだ。 ドナルド・ジョン・トランプ大統領の存在は日本にとって、これまで「親」と思っていた米国が「兄弟姉妹」になったくらい軽い存在になったのと違うだろうか。 トランプ大統領が小物というのではなく、虚構に包まれた部分がぬぐい去られた。はっきりしていて、むしろ付き合いやすい面も多いように思う。 親と呼ぶほど子であった日本に対する慈愛心はなく、兄弟ともなれば相続(利益相反)問題などでは兄弟争いもある。それぞれ兄弟が、独自の家庭と家計を持って生活していくのは先進国といえども、人の営みと同じだ。 |