2017,09,27, Wednesday
時代が変われば、あらゆる価値が変化する。思いもしなかった人口減少時代を迎え、右肩上がりだった土地神話の土地や家屋も、土地神話の崩壊と共に東京など大都市の一部を除きマイナスの資産になりつつあります。全国に820万戸あると言われている「空き家」も、これが大きく影響しています。
国土交通省の推計によると、所有者の居所が判明しない「所有者不明土地」が全国の私有地の20%、九州を上回る面積に広がっている。土地神話が続いている時代は、相続登記も必ず行われていたものの、地価が下落した昨今では、相続しても固定資産税の納税義務や管理コストだけが残り、変更登記をする人が激減している。登記しなくても、固定資産税課税されることがあるのですが。 「登記」で、義務であるのは新築建物の表示登記ぐらいであるが、私の36年の業歴でも、「登記すれば勝てる」という印象が強い。つまり登記がなければ負けると、今でもそう思っています。これは登記すれば得をするからであり、不動産価格が下落し取引の当てがなければ、登記見送りによる所有者不明の土地や建物、山林は間違いなく増える。 既に被災地の復興や公共事業、固定資産税の徴収などに支障が出ており、「見捨てられた土地」が増えれば国土の荒廃は避けられない。不動産需要が落ち込む地方都市や中山間地では相続登記を急ぐ必要がなく、2代3代と重なった結果、相続対象者が膨大な数に膨れあがり、特定作業が極めて困難になっている。 平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」が施行されたことで、空家にしている者に助言、指導、勧告、命令、行政代執行を行うことが出来るようになった。それより、固定資産税課の持っている「真の所有者」の情報を、庁内で共有することが出来るようになった。実にばかげたことが、市井の常識のように当たり前に扱えることになったのです。 市区町村の税収の中で、固定資産税に頼る傾向は大きいのです。私の認識では6割程度の税収が、固定資産税から得ている市区町村があるのです。登記は法律で身を守る手当てですが、そのためには登録免許税という税金がかかる。身を守るためには、多少の出費は仕方ない。得するためですから。 私の立場でいうのは問題かも知れませんが、土地は地球の一部です。個人が持つ、所有権が強すぎます。他国は知りませんが、日本の所有権のあり方は、今一度考え直した方が良いと思います。特に不動産は、公共の福祉に貢献するという側面があります。 所有権の余談ですが、先の固定資産税は所有者に対して各市区町村で課税しますが、全国共通で1.4%(2.1%までOK)、併せて都市計画税0.3%(課税されていない市区町村あり)が課税されています。1.7%×60年で1.02、つまり所有していても60年間税金を払うと、また買うことに計算上はなります。 続いて余談ですが、国内の水源地や基地周辺の土地が外国人に買われているという話をよく聞きます。所有権があまりにも強いものだから、買ってしまえば何に使っても良い訳です。都市計画法などで大雑把な規正はありますが、クリアーすることは簡単です。 国は「経済財政運営と改革の基本方針2017」で、所有者不明の土地の有効活用に向けて、次期国会にも必要な法案を提案するように聞く。国や地方自治体が「一時預かり」とし、相続人が現れたら返還するような法案が待たれる。有効活用することで、不動産は喜ぶと思うのですが。 |