2016,12,19, Monday
このところ、相続ビジネスに対する取り組みを活発化させているのが証券会社だ。特に大和証券は、他社に先駆けて「ファンドラッププレミアム」という新サービスを開始した。最低投資額が3千万円からと、富裕層向けの商品ですが、相続発生時の資産の行き先をあらかじめ指定することが出来る仕組みです。
資産の名義人が生前に配偶者やこどもを受取人として指定して契約を結んでおき、名義人が亡くなると現金化される資産を、その受取人に渡してくれる「相続時受取人指定サービス」であります。 相続が発生したとき、故人の「遺産書」が確認できればそれに従って名義変更の手続きを行うことになっています。だが遺言書がない場合は、金融口座もロックされて、一切の出金が出来なくなり葬儀代にも困ったという話も良く聞く。 この場合には、相続人間で分割協議をしてそれをまとめた書類を、金融機関ごと(最近は1カ所で良くなりつつある)に作成して、金融機関の理解を得ることになります。分割協議を終えて遺産が相続人の手に渡るまで、早くても数ヶ月を要することもあるのが現状です。 ところが19日、最高裁判所大法廷(15人裁判官全員)は「預貯金は遺産分割の対象」とする初判断を示し、改めて相続分を決めるため審理を大阪高裁に差し戻した。不動産や現金が遺産分割の対象なのに対して、預貯金は「遺産分割の対象にならない」と解釈されてきたが、判例を変更したのです。 この判決が、大和証券ファンドラッププレミアムにどのように影響を与えるのかわかりませんが、私は恥ずかしながら、預貯金も遺産分割の対象と考えていました。最高裁は、平成16年の判決で、預貯金など分けることが出来る債権は、「(法定)相続分に応じて分割される」から法定相続分で自動的に分けられるとしていたらしい。知らなかった。 それが19日の判決で、確実かつ簡単に換金できる預貯金は現金と同種の財産と受け止められていることなどから、自動的に配分されるのではなくて、現金や不動産同様に遺産分割の対象になると、明確に判例を変えたのです。 話を戻しますが大和証券のファンドラッププレミアムは、大和証券が個人と投資一任契約を結び、顧客のリスク許容度と、投資意向に沿った最適な国際分散投資を行う仕組みです。国内株式と国内債券、外国株式と外国債券を組み合わせることで安定したリターンを得られるというのがうたい文句です。 ファンドラップは資産の運用・管理・投資アドバイスを包括的に行うことから包み込む意味の「ラップ」と名付けられて約40年前に米国で生まれ、日本でも2004年の証券取引法等の改正で解禁になり、16年9月末のラップ口座契約の資産残高は6兆197億円と拡大しているのです。 ファンドラップは証券会社へ一括投資が頼めて、契約者が亡くなった時点で運用資産が自動的に解約されて10日間で現金化される。所定の手続きを経て、時価に近いかたちでキャッシュを受け取れるので、「資産をわかりやすく残したい」「相続で家族に迷惑をかけたくない」という人に好評のようだ。 しかし新聞には書いていないが、一般的にはファンドラップは手数料報酬が高いと言われています。これも考え方だけど、相続財産でもらった側が手数料が高いの報酬が高いと言うことはないので、証券会社とすればやりやすいか。確定申告をせず、年末調整で済ます日本人。簡単わかりやすいというのが、美学のようです。 繰り返しますがこの仕組みが、19日の最高裁判所の判決でどう変わるかは、これからのことです。変わらないかも知れませんが、大和証券ファンドラッププレミアムは少なくても18日までのネタですから、くれぐれも自己責任でお願いします。 |