小欄おなじみの、田村正之さんの「お金」シリーズの本です。初版は2015年3月23日です。こうした経済本は、古いものだと今と制度が変わっていて役に立たないものが多くありますが、この本は2015年の大型相続税の改正まで網羅していて、私が読む限りでは問題はないと思います。
ただし全315ページの中で、305ページの2行目の「借地権割合は原則30%」は「借家権割合は原則30%」だと思います。たったこれだけの誤植?をとやかく言うつもりはありませんが、田村正之さんの上梓した著書はいずれもが素晴らしく読みやすい構成になっていのです。
私は日本FP協会認定のCFPに今ひとつ届かず13年を迎えていますが、特に金融商品運用設計については本当に難儀しています。訳が分からないのが、庶民の偽らない感情だと思います。合格のテクニックが電卓操作ですが、頸椎狭窄改善の手術をした私には、電卓操作は症状の再発と思うほどです。
それはそうとして、田村正之さんはこの本において長寿高齢化を迎えて、これまで以上に老後資金が必要になると訴えています。極端に言えば、40年間働いて退職後40年間生きるとすれば、今以上の蓄えが必要だと訴えています。これまでに予定されていた平均余命が、確実に延びています。
確かに退職は60歳から65歳に、5年間後ろへ移動していると感じます。これは公的年金の支給年が65歳へ大移動していることによると思いますが、65歳から公的年金を受給するにしても、その後85歳まで、95歳までさらに100歳までになると、今の年金制度が崩壊します。
「さらなる長寿化」×「年金の実質減額」×「インフレ」×「金利の抑制」=老後貧乏というのが田村正之さんの主張する方程式です。内容には触れませんが、田村正之さんの著書には、「資産運用」から「外貨投資」「医療と保険」「住まい方」「年金」「相続と贈与」とインデックスたけを見ても多岐に富んでいます。
このバランスが、田村正之さんの本の特徴。日経新聞の記者ですから、普通は金融商品についてだけ書くところでしょうが、ライフプランに沿って考える指針になるポイントが「老後貧乏にならないためのお金の法則」に書かれています。
昨日一昨日の「登録実務研修」の講習でこの本を紹介したところ、受講生から田村正之さんは私の同級生だという人がいました。田村正之さんはくつわ堂田村日出男様の長男。高松出身で、早稲田大卒業から日本経済新聞へ入社しています。許されるなら、今年6月のライオンズクラブ幹事松野の例会講師をお願いしたい。