時事通信社が2017年3月に初版発行した、実に面白い本です。過日「内外情勢調査会」のゲスト会員として例会に臨んだ際に、受付で販売されていました。内外情勢調査会は、幹事社が時事通信社です。時事通信社は、世界有数の通信社の一つ。
戦前の国策通信社であった同盟通信社には、終戦後GHQから圧力が加えられていた。GHQが日本政府へ「日本政府のニュース統制の排除、各国の外電通信提供の自由及び政府の助成機関たる同盟通信社の特権剥奪」(昭和21年9月24日)の指令を出したのをきっかけとして、同盟通信社は1945年(昭和20年)11月解散、共同通信社との2社に分割しました。
ウィキペディアフリー百科事典にはこう書かれているのですが、私は戦前の同盟通信社は、「時事通信社(主に世界の政治情勢を得意とする情報を配信)」と「共同通信社(主に経済・社会ネタを得意とする配信)と「電通(広告宣伝部門)」の3社に分割されたと聞いています。まあここではその真偽はともかくとして、時事通信社が銀座のママ情報を上梓するのか。
その相関を時事通信社高松支局長舟橋良治氏は、著者の白坂亜紀さんが、時事通信社が全国で主催する講演会の講師だというのです。だから講演の前にこの本を配布すると、実に多くの会員が例会へ出てくるという構図が出来るわけです。
男性だと「銀座の夜」と聞くと、興味を持たない人はいないと思います。期待通り本の内容は、流石というくだりが多くありました。恐らくゴーストライターが書いたとは思いますが、この白坂亜紀さんは大学生でママになった豪腕です。大分県の豊後竹田市から上京し、早稲田大学を6年かけて卒業しています。
その内容の多くは、銀座の一流クラブへ来るお得意様は「粋人」が多いというまとめですが、自らが銀座の夜の世界を泳いだ20年間の実話が多くちりばめられています。そしてその内容が、実に面白い示唆に富んだものです。銀座には、昔からの日本人が持つ利他心がまだ多く残る。
バブル崩壊、リーマンショックから東日本大震災、水商売をターゲットにした金融機関の貸し剥がしも赤裸々に語られています。それでも結論は、「人間性」です。私も銀座のクラブへは1度だけ人の奢りで行ったことがありますが、こんな本を読んでいたらこの「クラブ稲葉」に自費で行って見ようかと思いました。
長引く不景気で、銀座の輝きが失われるのではないか、銀座のために私に出来ることはないか、と思い始めた頃、GSK(一般社団法人銀座社交料飲協会)の理事となり、「銀座ミツバチプロジェクト」にも積極的に参加しています。銀座から発信する活動の根底にあるものは、「遊び心」だそうです。