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令和に読む文豪を超えた巨人松本清張
四国新聞2月27日(月)の文化欄に、松本清張が日本の文学史上の『巨人』として紹介されている。もちろん『文豪』の範疇を超えての巨人扱い。松本清張が没して、もう30年になります。30年と言えば一昔。その間に人も変われば、社会も変わった。今では名前さえ忘れ去られてしまった作家も多い。反面、西村京太郎らのミステリー作家も多く誕生している。

ところが清張の人気は、一向に衰える気配を見せない。原作をドラマ化したTV番組の視聴率は、依然として高水準を誇る。多くの文芸作品がティシュペーパーのように一過性の消耗品として消費され続ける現代にあって、これはまさしく歴史的な『事件』だと言わざるを得ない。それではなぜ、清張の作品がかくも長く、広く、熱く愛され続けるのだろうか。

文芸評論家の郷原宏氏は、「面白いから」と評している。何とも卓越した評論だと感心する。時代背景・ストーリー展開・人間洞察力など、各論は各自様々だが、『面白いから』はその全てを網羅した表現だと思います。清張自身も、「小説は面白くなければ小説じゃない」と言い切っている。だから面白く作られている。しかしこの『面白い』は、本来時代と共に変化するモノ。昔も今も変わらないのが、『清張』の所以であります。

文章表現には手を抜かず、その風景や心理の描写には、並の純文学作家に真似の出来ないイメージ喚起力がある。同時に戦後敗戦からの時代の暗部を、めしが食えない弱者の立場を描き続けている。また清張の原作を映画にした作品も、見応えがある。27日の記事を読みながら、前日のNHKBS『ゼロの焦点』を録画した映画を観た。

時代背景が戦後すぐのGHQ占領時代の、日本中の苦悩を取り上げている。清張の原作なら『ゼロの焦点』ならずとも、つい見てしまうのですが、私には清張作品以上の感動を得た作品があります。水上勉の『飢餓海峡』が、それです。昭和22年に発生した青函連絡船沈没事故と、北海道岩内での大規模火災をイントロにし、殺人事件が発生し、災害死と判断された事件を刑事が追う。

ドラマの展開は、よく似ている。時代の弱者を主人公にしている点、その人らが頑張って成功をなしている点もよく似ている。薄幸の女性が、幸せを求めて一生懸命に生きているが、ある日思いも寄らない『事件』が起こる。その事件を契機に、話しが続き、読むモノをひき付けて離さない。

どうにもならない時代背景の中で、生きていく上で仕方なく罪を犯したり犯罪ぎりぎりのしのぎの中で生きている。名作は、足りないモノを補うカタチで展開し、決してハッピーエンドで終わらないもののようだ。水上勉は別にも作品を書いているが、量では松本清張には及ばない。私は、両者を比べようとしているのではありません。清張の『ゼロの焦点』に対して、水上勉『飢餓海峡』は遜色がないのです。


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| 社長日記 | 07:52 AM | comments (1) | trackback (0) |
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