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ソレイユ大映映画まつり『羅生門』
高松市内の映画館『ソレイユ(詫間敬芳代表)』で、元大映映画の20作品を一挙公開している。私は大の映画フアンと言うわけではないが、世に言う大作が1千円ぐらいで観られるならと、ほくそ笑んでいる。今の時代、DVD化された作品を通販で取り寄せて自宅で鑑賞するのも一興だが、私は敢えて、映画館へ出掛けることにした。ソレイユは、高松市内で唯一『非イオンシネマ』館であります。

『羅生門』は、1950年の日本の映画である。監督は黒澤明で、三船敏郎、京マチ子、森雅之などが出演。 芥川龍之介の短編小説『藪の中』を原作とし、タイトルや設定などは同じく芥川の短編小説『羅生門』が元になっている。 平安時代を舞台に、ある武士の殺害事件の目撃者や関係者がそれぞれ食い違った証言をする姿をそれぞれの視点から描き、人間のエゴイズムを鋭く追及しているが、ラストで人間信頼のメッセージを訴えた。

同じ出来事を複数の登場人物の視点から描く手法は、本作により映画の物語手法の1つとなり、国内外の映画で何度も用いられた。海外では羅生門効果などの学術用語も成立した。作品は私が誕生する2年前の作品と言うから驚きだ。若い頃一度は観たように記憶しているが、その際は『しょうもない、面白くない映画』だと思った。

それが今は、人の考え方取りようは千差万別だなと、しみじみこの作品の質の高さに驚かされた。置かれた立場によって人は、自分に都合の良いように言う。否、考えると言った方が分かりやすいか。特にこの時代(平安時代)、着るモノ・喰うモノがない時代、人間の正義感・倫理観も本能の前にかき消される。

ある武士の殺害事件を題材に、登場人物それぞれが『自分は悪くない』とお白州で証言する。二重に驚くのは、殺された側からの発言(最後に巫女が呼ばれ、金沢の霊を呼び出して証言を得る)もそこにあった。どれが正解かの解明はないが、一つの事象にこれほどまでの広がり、それぞれの自己主張がなされるのに驚愕する。そもそも人間とは何かすらも、問うている。

当然『白黒作品』で、土砂降りの中、羅生門と称した門(ちょっとした建物)の下での3人の語りと殺害現場での格闘シーンだけの構成だが、実に上手く表現されている。サイレント映画の美しさを意識した視覚的な映像表現が特徴的で、光と影の強いコントラストによる映像美、太陽に直接カメラを向けるという当時タブーだった手法など、斬新な撮影テクニックでモノクロ映像の美しさを引き出している。

第12回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞)を受賞し、これまで国際的にほとんど知られていなかった日本映画の存在を、世界に知らしめることになった。また、本作の受賞は、日本映画産業が国際市場に進出する契機となった。

人間は、自分自身について、正直な事は云えない。虚飾なしには、自分について、話せない。この脚本は、そういう人間というもの、虚飾なしには生きていけない人間というものを描いているのだ。いや、死んでも、そういう虚飾を捨てきれない人間の罪の深さを描いているのだ。これは、人間の持って生れた罪業、人間の度し難い性質、利己心が繰り広げる奇怪な絵巻なのだ。— 黒澤明『蝦蟇の油』



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| 社長日記 | 09:40 AM | comments (0) | trackback (0) |
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