公益財団法人不働産流通推進センターが認定する「宅建マイスター」の、恒例になっているサマーセミナーです。と言いながら、私は初めての参加です。日程が重ならない限り、参加するのが私の原則ですが、昨年の今頃は25年ぶり二度目のライオンズクラブ幹事で、超多忙でした。会勢を元に戻して、さらなに上積みをしようと悪戦苦闘でした。
本日は、「弁護士による高齢化社会における不動産取引の講義」と題して、松田弘(松田・水沼総合法律事務所)弁護士の講演と、第2部懇親会でした。会場は共に中央大学駿河台記念館ですから、参加費はいくらか忘れましたが費用はそうかかっていません。ビールと乾き物のおつまみだけでも、懇親会は出来ます。名刺交換も自己紹介も出来ます。
「宅建マイスター」も一つの資格として公益財団法人不働産流通推進センターが認定しているのですが、知られていないこともあり資格ホルダーは全国でたった312人だそうです。私の認識では、公認不動産コンサルティングマスター(16,000人)の下ぐらいですが、よく分かりません。私もあると挑戦するのですが、第4期生だと聞かされました。
講義の内容は、「ついに成立した改正民法と実務の対応」と「進む高齢化と不動産取引」の二つ。問題は民法の持つ独特の存在価値を、とのように取り扱うか。というのは、民法は憲法の下にある尤も重要な基本法ではあるのですが、第3編の「債権」は任意規定で、ここに書いてある法律内容を当事者の合意で変更できるという実にややこしいものです。
合意があっても公序良俗違反は駄目ですが、合意内容が民法規定に優先します。合意がない場合は、民法の規定が適用されます。この流れから、契約書は今後(2020年一月か四月から施行?)、今以上複雑になると予想されます。まさに契約社会と言われる欧米に、追いつけ状態です。
正直なところ業界でも、民法第3編債権(現行第399条~第696条)が任意規定だと知らない業者も多いのではないでしょうか。私が過去に経験したことですが、リゾートマンションを賃貸居宅とした借主が、民法第606条(賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う)を盾に、修繕しない賃貸人を激しくなじる場面に遭遇しました。
その場に県職員もいましたが、激高する賃借人に「606条は任意規定だから排除することも出来る」つまり「修理しない」と契約書に書き、合意すれば一切の修繕義務がなくなると私が言って、その場が収まったことがありました。
この例を待つまでもなく、民法のボリュームが増えた分、契約書が大容量にならざるを得なくなる。国が模範契約を作ればすべてが氷解するのですが、流石に国が民法に反した内容を書く訳にはいかず、全宅連など組織から提供される契約書を楽しみに待たれるところであります。読むだけでも、宅建士は大変だ。