安倍晋三首相が、終戦70周年を総括して「70周年談話」を、この夏に出そうとしています。有識者検討会を開き、先の村山談話を踏襲したもの、はたまた否定して日本の開戦の正当性を訴えるかとも言われています。安倍晋三首相としては、独自性を出したいと考えているふしがあります。
どのタイミングか私は知りませんが、8月6日広島原爆投下日や9日の長﨑原爆投下日、そして15日の玉音放送日には出るのでしょうか。まさか9月の講和条約締結に併せることはあるまい。どこであれ、この中でタカ派の安倍晋三首相であっても、植民地支配と侵略「謝罪」の意味合いは必要だと思います。
ただし、過去の村山談話や、昭和天皇、今上天皇の「お言葉」がそうであったように、植民地支配と侵略に対する謝罪は、現在の日本の「国のかたち」が何か「悪なるもの」を継承しているとか、「物的な戦後補償を永遠に続ける」といったものではありません。
あくまで象徴的な意味で、「最後の世界大戦における永遠の敗戦国」という「役割」を理解しているし、そのような戦後の国際秩序において「信義ヲ世界ニ失フ」ことはしないという理念的な意味合いであり、それ以上でも以下でもないということを明確にすることです。
日本離島防衛などについて安倍晋三首相は、「中国を対象にしている」と明言したりして、中国を激怒させています。安倍晋三首相は正直な人かも知れませんが、そこのところはぼかして発言しないと、外交にはならないでしょう。
安倍晋三首相の軽はずみを懸念してか、3日夜、皇居・宮殿で開かれた国賓として来日したフィリピンのアキノ大統領を歓迎する天皇、皇后両陛下主催の宮中晩餐会(ばんさんかい)での天皇陛下の発言に、その心配が込められています。
天皇陛下は冒頭のあいさつで、先の大戦時にフィリピンで多くの国民が犠牲となったことに触れ、「私ども日本人が深い痛恨の心と共に長く忘れてはならないことであり、戦後70年を迎える本年、犠牲者へ深く哀悼の意を表します」と述べられたのです。もしかしたら「70周年天皇談話」があるかも?
集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法案の成立に固執する安倍晋三首相ですが、同盟国アメリカの真意は、成立後に自衛隊が持つ戦闘武器の押しつけではないかと私は考えています。1兆円とも2兆円とも噂されるアメリカ政府承認の武器商人からの武器輸入。自衛隊は、防衛のための機材は十分保持しています。
オスプレイだとか、離島防衛のためと言われる水陸両用車など、防衛と言いながら離島奪還作戦ですから、まさに戦闘です。先にも書いたように、この対象国は中国だと安倍晋三首相は名指ししています。市井の近所づきあいでも、名指しされたら敵意を覚えます。
こんな安倍晋三首相ですが、私が偉いと思うのは、アメリカ一辺倒の行動の中でもロシアとの外交パイプを切らないように留意しています。集団的自衛権行使を容認することは出来ませんが、ロシアとの交渉、とりわけ北方領土問題の解決に、私は大きな期待を寄せています。
さて標題の件ですが、逆説的に言って「70周年談話を出さない」という政治手法もあるかと思います。田舎の市町村長と、国の代表とは当然質が異なります。正直に誠実に粛々と執務する立場と、安倍晋三首相の仕事は当然異なります。両極端の考え方を持たないと、国益は守れません。
ドイツのメルケル首相は西側陣営の中心人物ですが、プーチン大統領とは同郷です。ドイツのメルケル首相は、東ドイツ出身です。当然プーチン大統領とも旧知の仲です。これがまさに外交です。
ギリシア問題の解決に、EUやドイツのメルケル首相は聲高になっていますが、ギリシアの助っ人は、実はロシアです。ロシアからの事実上の資金援助、これがあるから、だからギリシアは、笑って強気なのです。これが欧米の政治です。