2007,03,06, Tuesday
ゴキブリ駆除剤メーカー、タニサケ会長の松岡浩さん(62)の一日は、毎朝6時過ぎから本社のトイレの掃除で始まるそうです。
トイレ掃除は、イエローハットの鍵山秀三郎さんの教えのようです。平成4年松岡さんは初めて会った鍵山秀三郎さんへ向かって、「あなた暗いですね」と言ってしまったそうです。すると鍵山さんは、「私は暗いのです。だから明るくなるように、トイレ掃除をしているのです」、さすがこのレベルになると、両人の言葉には、奥深さを感じます。この出会いの後、平成5年から、松岡さんは毎日欠かさず、早朝に会社のトイレや周辺の掃除をし始めたのです。 松岡さんは「明るい」性格が幸運をもたらすと考えています。一日5分でいいから早く出社して、自分の時間や身体を使って、周囲の人を喜ばせることをしてみることだと言います。それを習慣となるまでやり続けることです。 松岡氏は6時十五分には出社しています。朝型人間でなければ、成功しないという持論の持ち主。また人に癒されたいと思うのは、傲慢だとも言い切ります。自分が癒すことをしないで、癒されることを期待するのはとんでもない間違いだと言っています。 会場で頂いた資料の中に、「日本精神」を取り戻そうというものがありました。日本人が失った「魂」や「気骨」を取り戻し、再度世界に尊敬される国を築き上げるために、今われわれは何をすればいいのか。氏は、「火の粉をかぶる決意」を持つことだと書いています。 大人と子どもの違いもあげられています。いい加減な大人の姿勢を、子ども達は鋭い目で見ています。何か事件が起きても、誰も責任を取ろうとしない。そんな大人のうさん臭さを子ども達はしっかり感じ取っています。ですから、今の子ども達が抱いている大人のイメージは「汚い」なんです。大人が率先して正しい生き方というものを示してくれることを、子どもは常に期待しているのです。 15歳から29歳の人に、「親の行動に希望が見えるか」と訊いたら、多くの子ども達が、親は生き生きとしていないと答えています。 自分の欲しいものを人に譲る。相田みつお氏も奪い合えば足りず、分かち合えば余ると書いています。同じことを感じているのですね。 話しを会社経営へ戻しますが、「一人一人が持ち味を出し合って目標に向かっていく」会社になれば、㈱タニサケのように36名の社員で、売上高8億余、経常利益2億円を22年間積み重ねられるのでしょう。会社には、「駄馬」と「駿馬」と「暴れ馬」がいます。上手く使いこなすことが、社員さんの成長を引き出し、結果が生まれることに繋がります。 社員さんを燃えるようにするには、社長が燃えなくては、火はつかないのです。自分が赤々と燃えないと、社員さんは湿気ています。教育は、真っ赤に燃えることです。 また社員さんは、社長が言ったことはやらない、見たことは真似をする傾向も注視する必要があります。社員さんにとって、自分がやる仕事か、やらされている仕事かで自ずと結果が違います。 また一方、事業は利益を出して税金を納める為でもあります。利益を出す方法に、「出来るだけ高く売る」ことが求められます。盛和塾の稲盛和夫さんも、経営の12ヶ条の中で、「値決めは経営」と言っています。200円が原価であれば、普通は600円程度で売る。タニサケはそれを2,200円で売っています。 そして「出来るだけ安く作る」のです。そしたら間違いなく利益は出ます。 社長は社員さんを喜ばせ続けること。社長は、社員さんを大切にする、すると社員さんはお客様を大切にするようになるのです。CSが先かESか。善循環が続きます。 そして「儲けたお金を使わない」。ご・・・ゴルフはしない、ろ・・・ロータリークラブに入らない、ら・・・ライオンズクラブも入らない(頭が痛い、だから儲からないのか)。過去に国税局が二度入りましたが、是認でした。一点の曇りもありません。 成功する人とは、目の前のことを世界一の方法で応える人です。周りの人から信頼信用される。素直にハイと言って、素早く行動に移す。即行する人。釣った魚に餌を与えるバカ者と言われたある経営者は、「釣った魚だから育てるのだと」言い切る。これをくり返すと、客は参ったと言って次のお客様を紹介してくれるまでになる。 道徳のない経済は罪悪だ。しかし経済のない経営は寝言である。二宮尊徳の言葉 ありがとうが習慣化する会社であり続けたい。 最後に改善について 改善提案は、社員さんの存在感を醸成する最善の方法です。 最初は1ヶ月に一提案を強制しました。最初は提案の報酬を500円にしましたが、あまりにも多くの提案が出てきたものだから、今は300円にしています。多い人は月に30枚は自宅で書いて来ます。平成3年から15年間続けています。1案件に2時間程度はかかっていると思われます。残業はしません。年間160万円は改善提案費に当てています。毎月250~300件の提案が出てくるので、これを調理するのに、即行で望むことにしています。 労働の拘束は8時間です。智恵の拘束は24時間ですが、給料は支払っていません。これが儲けに繋がるのです。 初期の頃には「モット給料を払って下さい」という提案書もありました。私も負けずに「モット給料を払う社長を捜してきて、そこで働きなさい」とやり返しました。後ろ向きの発言に、社長は毅然として振り回されないことです。今でも三割程度は横を向いている社員もいますよ。 考える癖が付いたら、仕事をしながらメモを書いています。 改善のポイントは、現場の監督者の考えを変えることです。一度挑戦して、1ヶ月は続けてみる。一度やり始めたら、石にかじりついてもやり続ける。14年間のトイレ掃除。一週間1ヶ月でやめると思っている社員さんは、1年続けると頭を下げて来ます。 駄目なら元に返せばいいことですから。 なぜ改善提案をするようになったか。 「日本一」(一日五回床磨き)を目指しました。床が日本一綺麗になったら、壁も天井も綺麗になっていました。 社員の喜ぶ会社。全国から見学者が増えれば、社員さんはご機嫌です。女性が見られると綺麗になるのと同じです。 社員さんは、上が正論を吐けば吐くほど、腐っています。上司から、「○○さんおはようございます」と声かけをして、気分を上向きにして朝礼に入るようにしています。 徳は、自己犠牲に比例すると考えます。一日三通のハガキを書くことにしています。 不進不在・一動一進 改善は苦しいでもその実は甘い。薄紙一枚一枚の心境です。 よその会社は社長が考えたことを社員さんにやらせている。社員さんに考え貰って、実践して貰う。自分の発案はかならずやるものです。 結局松岡氏の言いたいことのエキスは、「無上意(むじょうい)」だったのではないかと気づきました。仏典にある言葉ですが、「これ以上ない行為」という意味です。電話がかかってきたら、これ以上はないというぐらい優しくいい声で応対する。会社へお越しのお客様に、最高の笑顔と挨拶で迎える。 「苦楽をともにしてきた奥様を定年前に亡くし、四国88箇所の巡礼を終えたある一人の男性が、最後に立ちよった高知空港の日本料理店でビール一本と土佐名物カマスの姿寿司を注文した。男性から「申し訳ありませんがグラスは二つで」と注文を受けた若いウエートレスは、不思議に思いながらも指示に従い、まずビールとグラスを二つ出した。 すると男性は亡き奥様の写真をテーブルの中央に置き、その前のグラスにもビールを注ぎ乾杯をした。ウエートレスは瞬時に事情を察し、寿司を運ぶときには箸と箸置きを二組、小皿を二枚持っていった。 後日、お店に届いた男性からの手紙にはこうあった。「四国への旅には家内の写真と一緒に出かけ、食事の時には一緒にビールを飲みました。しかし、お箸と小皿を二人分出していただいたのはお宅が初めてです。驚きました。感動で身体が震えました。帰りの飛行機の中では涙が止まりませんでした。 本当にありがとうございましたー」と」。 これを書きながら、私も貰っています。 ぎりぎりに入ったら後ろ席でした。偶然猪子進さんのお隣でした。 ホワイトボードの字は見えません すこしアップでとりました |
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