公益財団法人不働産流通推進センターが主催する表題の勉強会が、千代田区永田町の同センター会議室で開催されました。もともと相続対策専門士は全国でもその数は少ない(240人)のですが、本日の参加者は30人限定です。講師は、ダンコンサルティング㈱取締役・石垣雄一郎税理士。私は何度か、先生の講義を拝聴しています。
本日のお題は、「問題解決のための民事(家族)信託活用法」。家族信託は、最近の不動産業界のセミナーとして流行しています。流行だから廃りもあるのですが、私の見る限りでは、これは続くと思います。限りなく「顧客」の希望に合わせて、契約を作り上げることが出来ます。その汎用性のために、「信託法」は難解です。
石垣氏の弁によると、「世に出回っている信託の解説書は、いろいろ出来ると紹介しているが、その根拠条項が示されていない」と言うのです。そのため本日は「信託法」の全条(第271条)と、同施行令と同施行規則、信託計算規則が用意されています。
「家族信託」は、信託法の平成23年5月の改正から、これまでの「商事信託」では特別な資産家オンリーから、一般人にも使われる信託になって、市井の話題になっています。なぜかというと、日本人の長生きとボケに関係しています。食の欧米化とも関係して、脳溢血などの病気が増えています。
日本の法律は、その人の「意思」を重要視しています。そもそも契約は、「その不動産を売って下さい」、「はいいいですよ」で契約は成立です。これが民法が定める契約の基本です。不動産の契約では、必ず売買契約書を作りますが、これはあくまでもトラブル防止のため、つまり訴訟のため、譲渡所得税納付のためにあるのです。
とは少し言い過ぎですが、契約書はなくても良いのです。契約書には印紙を貼付します。契約書を作らなければ、印紙代もかかりません。また売買契約後には所有権移転登記をしますが、これも任意です。しなければならない登記は、建物新築時の表示登記だけです。これだけは法律に規定があります。しかし、登記がないと第三者に対抗することが出来ませんが。
本日は一班を5人で構成し、その中で家族信託の課題を話し合い、それをまとめて各班から発表するものです。レベルは非常に高い。本日の参加者は、宅地建物取引士30万人の中から、5年間の実務経験を経て試験に合格した「公認不動産コンサルティングマスター(2万人弱)」の内、相続対策専門士の資格を得た人達です。
家族信託は、財産(自宅だけでも資産です)を持っている人が、ボケる前に、例えば子どもらに財産の活用を委任します。その任される子どもを受託者と言います。頼む人は「委託者」、自宅ではありませんがアパートなどではそこから得られる「家賃」を「受益権」と言います。
通常は、委託者がこれまで通り家賃などの「受益権」を得ます。この仕組みを組成した後に親である委託者がボケたら、そこから子どもの受託者が面倒を見るという仕組みです。これは財産の大小にかかわらず、使える仕組みです。
ボケというと、成年後見制度がありますが、こちらは使いにくい。しかしいずれにしても、意思がはっきりしている時に出来る手当で、ボケてからは何も出来ないのが、日本の法制です。私は65歳、もう準備しています。