正式には、「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業に関するシンポジウム」と実に長いものです。2月13日(火)、東京大手町ファイナンシャルシティカンファレンスホールにおいて、表題の全国53団体と一般参加者を集めて、成果発表会が行われました。私も、「さぬき安心あんぜん住宅普及協議会」の一員として、前日から参加しました。
2012(平成24)年から国土交通省の採択事業として、「中古不動産流通市場の活性化に関する調査検討業務」事業等、「業者間連携による新たなビジネスモデル等に関する調査・検討業務」など、既存住宅の安心安全取引と、空き家有効活用策を国土交通省は模索しています。
この事業から誕生したインスペクションと呼ばれる「建物目視検査」は、今年の4月から全国の既存住宅(中古住宅)取引の際に、事実上の導入が決まっています。導入から施行までが6年間というのは、実に早いし、それほどまでに既存住宅に対する施策が喫緊の問題として、浮上しているわけです。
国土交通省は、このような誘導式アドバルーンを上げて、助成金を付けて民間シンクタンク(株式会社価値総合研究所)を窓口として、全国から協議会を集めて、成果を共有して、その流れを時代の要請のように当たり前化しようとしています。これまでのような、20年少しで木造住宅が無価値になってしまう現状が、正しいわけがありません。
平成28年度に35団体、平成29年度には新たに18団体が加わり、全国津々浦々で、独自の住宅スタイルを創造(地元木材を使うなど)し、それを流通させて、地元金融機関と優遇融資政策を一緒に開発し、不動産鑑定士まで巻き込んで、行く先は高齢化長生きのための「リバースモーゲッジ」の仕組みまで見通しています。
リバースモーゲッジというのは、今の住まいを担保にして金融機関から借入をして、元本はそのままで金利だけ払い、使わなくなった段階(死亡か施設入所)で売却して、金融機関が元本を回収するという仕組みです。これも盛んに喧伝され始めていますが、地方の住宅は1,000万円を切る物件が多くなっていて、100歳人生を迎えるのには、心配もあります。
日本の住宅が、築後20年30年で無価値になってしまう現状は、どう考えてもあり得ないものですが、「リフォーム」や「リノベーション」をしてその履歴を残し、50年100年使う社会的財産としなければ、住宅建設サイクルは、善循環をしなくなる。昨今では「R住宅」というキーワードも、一人歩きしています。
私は30数年前から、「私的年金」=「家賃収入等」を持とうと訴えかけてきましたが、これとは逆ですが現在の年金制度に、「支払家賃(5万円程度)」の予定はありません。つまり家は持っていて、住宅ローンの返済も終わっているという生活スタイルが標準です。従って古くても、快適なマイホームが必要なわけです。
12日は、東京・品川のYKKAPの展示場へ行きました。窓を作っているのですが、昭和55年と今では窓の構造機能が異なります。断熱性を一層高めて、快適な住まいは省エネにもつながり、ヒートショックも防げます。長生きは健康を伴って、国土交通省の本気度がいろいろなところで見られて、良いシンポジウムでした。
各県宅建協会役員さんの顔も、ちらほら。新潟県、静岡県、岡山県等。またわざわざ挨拶に来られた、㈱価値総研執行役員小沢理市郎さん、その節もお世話になりましたが、ますますご隆盛のようで嬉しく思いました。社会正義のために、頑張って下さい。