愚か者三兄弟の第2作目は、カジノで106億円余をすった男の話です。大金ですが、全額が自分の持ち金であれば、何のおとがめもありません。大王製紙の関連会社から55億円引き出し、それを博打にあてたというのです。
(2013)昨年6月26日、最高裁判所で上告が棄却され、懲役4年(求刑6年)とした一審、二審判決が確定しました。私は法の番人でも専門家でも勿論ありません、こんなはっきりした罪で、上告する神経が分かりません。未練でしょうか。
理由はいろいろあると思いますが、本人は会社に損害を与えた借入金55億円を、利息を含めて完済したという思いが燻っていたと未練たらしく書いています。だから「執行猶予判決」をくれないかと、最後は上告までしています。人のカネに手をつけたら、全額返しても窃盗(この場合は横領)です。
「返済しようと思えば、いつでも自分のカネで返済できる」という甘い考えが自分の中にあった。盗み取るような気持ちは、神に誓ってなく、時期を見て返済しようと考えていた。だからこそ、会社のカネと自分のカネを混同するという、経営者としてあるまじき行動に出たと自己分析もしています。
経営者として、辣腕をふるったのも事実のようです。20代学卒で入社してすぐの頃、赤字子会社を立て直し、42歳で社長就任。老人用紙オムツを発売したり、それをブランド化して、「用心のためにオムツをすることは決して恥ずべきものではない」と、使用者の背中を押す戦術も流石です。
これら経営者としてのストレスが、カジノへ自分を誘ったと言っています。またアルコール中毒症状と同じで、重度のギャンブル依存症患者だとも書いています。可愛そうな病人なのです。だから執行猶予にしてよと言うのでしょうね。彼は私と同じように、かなりのお馬鹿さんですね。
最初の頁には、経営の自慢話、中頃には有名人との交際録。その後、後半すぎからカジノでの豪遊ぶりが書かれています。彼は縛才があったのですね。家族麻雀は、小学4年生の頃からやっていたようです。そして家族で行った最初のカジノ体験で、100万円が2000万円に化けたオーストラリアでの「ビギナーズ・ラック」。
次の愚か者三兄弟の第3弾に登場するのが、ホリエモンこと堀江貴文氏ですが、彼が先に収監されている訳ですが、井川意高服役囚は堀江氏から、「寒かろう」と座布団を差し入れしてくれて大変嬉しかったと書いています。堀江貴文氏は長野刑務所へ収監されて、寒い思いをしたようです。
失敗をしない人間などいない。人生は何度だってやり直せる。今はどん底にいる気分であろう井川さんが、これから何を学び、出所後にどんな活躍をされるのか、僕は今から楽しみにしている。帯に書かれた堀江貴文氏の言葉です。