「50年前、東京オリンピックを招致した人々の知られざる感動の物語」。1964年の東京オリンピック開催から丁度50年。フジテレビが、土曜プレミアムドラマとして10月11日に放映したものですが、製作者の意図通り、大変感動しました。涙腺の弱い私としては、随所に涙してしまいました。
ドラマですから、すべてが史実ではないとしても、あの時代に「日本人の矜持」をつらぬいた日系二世アメリカ人が、東京オリンピック誘致のためのロビー外交を長期間にわたってやります。妻も日本人二世ですか、折り紙で鶴を折ったりして夫とともに、中南米諸国のIOC委員に招致を働きかけます。
敗戦から15年が経過した頃の日本は、俗に言う2等国3等国でした。その当時の招致史話は、還暦を過ぎた私も初めて見ました。東京オリンピック50年を記念したものであることは、当然理解できますが、もう一方では、2020年大会への意味付けとも思えました。
先に発表された、2020年東京五輪のビジョンもなかなかの秀作だと感心しました。「1964年、(東京五輪が)日本を変えた、私たちが2020年、世界を変えましょう。歴史がもっともイノベーティブなオリンピック競技大会だったと記憶するために」というものだったと記憶しています。
キリスト社会とイスラム社会が、覇権を争っています。このまま突き進むと、地球は崩壊します、「スポーツには、世界と未来を変える力がある」とはいうものの、そんなに簡単ではないと私も思うのです。しかし八百万の神を持つ日本では、キリスト教もイスラム教も決して否定することはありません。だから日本なのです。
それぞれが、自己主張をしながら相手の言い分にも耳を貸す舞台が、ここ日本であり、2020年東京五輪ではないかと私は思っています。敗戦からの復興の象徴としての1964年東京五輪、次の人類の共存共栄を模索する2020年東京五輪になって欲しいものです。
話しを戻しますが、1964年東京五輪誘致のために奔走した偉大な先人の苦労の一端を垣間見て、改めて前向きに生きるためには、それぞれが感じる「誇り」が必要なんだと感じました。2020年東京五輪にまつわる黒い金の噂も、耳にしますが、金や利権より誇りでしょう。
世界人類に共通することは、2020年東京五輪がいま生きている人々の人生において、たった一度の機会だという現実です。だからこそ、この機会を生かして、キリスト世界とイスラム世界という枠を越えた交流の舞台であって欲しいと願う2020年東京五輪です。
それもこれも、1964年東京五輪開催のおかげです。先に小欄で書きました「東海道新幹線」や全宅連総会などでお世話になる「ホテルニューオータニ」、また高速道路も1964年東京五輪を契機として誕生し、日本人の生活向上に大いに貢献してくれています。
私は歴史物が大好きで、「明治維新」や「黒部の太陽」、はたまた「瀬戸大橋を作った男」などの人々の生き様を垣間見ることが大好きです。主人公が大酒飲みの破天荒な人ならのめり込んでいきますが、一方では脇役に、視点をあてています。主人公は、意識するまでもなくクローズアップされています。
多くのユダヤ難民の命を救った杉原千畝や、孫文の台湾独立に資金援助した梅屋庄吉(うめや しょうきち)、百田尚樹の「海賊と呼ばれた男」で知られることになった出光興産創業者出光佐三など、偉人の活躍には血湧き肉躍る感情を抱くのは私だけだろうか。
改めて1964年東京五輪を呼んだ男たちに、感謝をしたい。そして自分が出来ることを、探し出してでも成し遂げたいと強く思う私でした。たいしたことはとうてい出来ませんが、自分が抱く「誇り」となれば、自分は往生できます。