昼から、一般社団法人香川宅建高南支部研修会で、講師をしていました。講師と言っても、支部長が私で聞く方が身内ばかりの研修会です。その分ここでは、本音が話せます。「宅地建物取引士」の誕生で、色々な研修責務などが増えてきています。
正直大変だなと思うのだが、反面やりがいも出てくる。私は親孝行だと思ってこの業界に身を置いたつもりが、「口入師(くにゅうし)」と蔑まれて、それから私の常態は「脱口入」になりました。その戦いの、私にとって終盤の活況(悪あがき)へ突入という感じになってきました。花火大会の、フィナーレのあのドンドンです。
3年ほど前から「インスペクション(中古住宅現況検査)」のシステムをはじめて、今では県下1,000社の宅地建物取引業者(不動産業者)が、それを使うことが出来ます。建築士資格を持つ専門家が、現況を見て報告書を書いてくれます。勿論有料ですが、ほとんどの場合売主が負担します。
「自分の持つ建物の今の状況は、報告書の通りです、どうですか。」と売り出します。それを見た買主が、「分かりました。買いましょう。しかしシロアリ駆除だけはお願いします。(問題がなければそのまま)」となります。そうなんです。シロアリ点検と、住宅履歴も付いています。
不動産流通業界のブラックボックスの中身の見える化、オーバーな言い方ですが、「(新築より)安い中古住宅は当たり外れが大きい」。しかし「はずれ」をひいた買主は、たまったものではありません。一生に1度か2度の住宅購入で、はずれたらその後の人生をも狂ってしまいます。
そんな反省を学習して、中古住宅の見える化に取り組んだのが、インスペクション(中古住宅現況検査)です。それに加えて私は、境界確認作業を土地家屋調査士、要するに土地の境界確定や測量のプロに頼むことを売主へ働きかけています。不動産価格が下落している中で、売主へさらなる負担を掛けるのは忍びないと言う意見もあります。
反面相続財産などでは、現所有者は、親から貰った不動産の例えば境界とか、建物の状況などは全く分かりません。売主全部が相続人ではありませんが、専門家の第三者の確認(担保)があれば、売主としても安心です。それが、20万円程度で出来るなら、考えようでは安いものかも知れません。
また、「空家等対策の推進に関する特別措置法」も話しました。「危険家屋等」だと市町村から認定を受けた「特定空き家」は解体を「勧告」されます。従わなければ、市町村による代執行もあるとされています。また50万円の過料も、決められています。
これまでは古家が残っていれば、「土地」の固定資産税が安くなっていました。建物は恐らく価値がなくて、20万円以下の非課税でしょう。この制度が古家の除却を妨げているとして、「勧告」と同時に建物があっても土地の固定資産税は、3.6倍に跳ね上がります。来年1月1日から、こうなると思います。
さらなる不動産業界の激震は、国土交通省が打ち出した、建物の基礎・躯体のランクを、AAAランク(長期優良住宅)で100年、AAランク(劣化対策等級3相当)で75年、Aランク(劣化対策等級2相当)で50年、Bランク(昭和60年以降の旧住宅金融公庫融資住宅相当で40年、Cその他で30年と新たな指針が示されました。
これは、大変大きな方向転換です。これまで日本の木造家屋は、20~30年で価値がなくなるとされていました。建築業界のみならず、金融界でもこの数字を鵜呑みにしていました。高度経済成長時は、スクラップ&ビルド(壊して建てる)である意味都合が良かった。しかしそんな時代は、もう20年も前に終焉しています。
ここへ来て、不動産業界は「当たり前を当たり前に」する準備が整いました。ここから一気呵成にさらなる10年間をひたすら走る、そこには文字通り士業としての「宅地建物取引士」の存在が、クローズアップされていることでしょう。
加えるなら、そこには専門技術のほか人格も求められます。人格は、夜の盛和塾香川の自主勉強会へと続きます。稲盛和夫塾長の話しを真に受けて、それをひたすら実践していたら、まっとうな人間になれるようです。
夜は、香川塾生3人の「わが経営を語る」でした。3人さんようで大変興味深いものでしたが、特に三宅務(㈱三共機械工業代表取締役)塾生の話は、驚きもしましたし、成長したなと感動もしました。置かれた逆境を乗り越えていく逞しさ、学ものが多い自主勉強会でした。赤松靖則さん、瓦町駅まで乗せてくれてありがとう。